著者
田中 辰明 柚本 玲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.244, 2007

<b>目的</b> ブルーノ・タウトは日本では、著書「日本美の再発見」で日本建築の素晴らしさを世界に紹介した人物として知られている。1933年に日本に移住する前はベルリン市の住宅供給公社ゲハークの主任建築家、またシャロッテンブルク工科大学教授として活躍していた。1924年から1933年までの間に12,000戸の勤労者住宅を建設しており、それらは第二次世界大戦後も多数残っている。日本の団地にも大きな影響を与えた氏の作品を調査した。<br><b>方法</b> 調査対象はベルリン南部リッツの馬蹄形住宅フーフアイゼンジードリング・ブリッツ(1925-1930年:1963戸)、ベルリン西郊の森の団地ヴァルドジードリング・オンケルトムズヒュッテ(1926-1931年:1952戸)とした。後者には486戸の独立住宅、2軒を1棟とした住宅も含まれている。この2団地を中心にリューデスハイムプラッツ、アイヒカンプ、ヴァインガンドウーファー、シェラー公園、トリア通りの住宅について、住人への聞き取り、住宅内部調査を含め実地調査した。<br><b>結果</b> 氏の住宅ではヴィーゼと呼ばれる太陽を取り込み芝生のある庭が設けられている。また車の普及を予想し駐車場を確保したり、自然通風に配慮したりと住民への配慮が行き届いている。第二次大戦後の奇跡の復興による立派な住宅が多いベルリンでタウトの労働者住宅は決して目立つものではない。しかし、第一次大戦敗戦後に労働者が住宅に困窮した時代、「戦後復興は住宅から」という確固たる思想で、労働者の健康に配慮した団地建設を行なったタウトの仕事は賞賛されるべきである。リッツ、オンケルトムズヒュッテには住まい手に大変感謝されていることがしのばれるタウトの顕彰碑が建っている。

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