著者
田中 辰明 平山 禎久 柚本 玲
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.128, pp.41-44, 2007-11-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ドイツのブデルス社は1731年に鉄鋼業として創業し、放熱器やボイラ、調理用暖炉などを製造してきた。1920年代には日本の有名建築にボイラを多数輸出し、わが国の建築設備界に影響を及ぼした。本報では同社が製造した調理用暖炉の調査報告を行う。当時は調理用の暖炉がそのまま厨房の暖房に用いられた。主に同社が1895年に発行した社内資料による。
著者
柚本 玲 今井 綾乃 田中 辰明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.131, 2005 (Released:2005-12-08)

目的本研究では衣類のカビ汚染を防ぐために市販防虫防カビ剤の代替品として天然植物精油を使用することを目指した。精油は天然由来で生分解性が高いこと、市販されており入手しやすいなど居住者にとって利点が多い。そこで、気体状態でカビを発育阻止する市販の天然植物精油を選出し、効果の持続性、必要量、揮発成分の発育に対する影響を検討することを目的とした。方法衣類のシミから分離したCladosporium cladosporioides、Aspergillus nigerを供試菌としてpotato dextrose 寒天培地に植菌し、ペトリ皿(φ90 mm)内に0.1 mlの精油を含ませた滅菌ろ紙を培地に触れないように設置した。25℃で7日培養後に集落が目視確認できなければ”効果あり”とし、効果持続日数、必要量、精油揮発成分と発育阻止効果との関係を分析した。結果精油の揮発成分に室内空気汚染源となる物質は含まれていないことを確認した。両真菌に効果のあった精油は8種、C. cladosporioidesのみでは3種、A. nigerのみでは2種であった。両真菌を30日以上発育阻止した精油は7種、C. cladosporioides のみでは3種であった。そのうち、本実験の最少量である6μlで30日発育阻止した精油は、両真菌に対してLEMONGRASS、THYME、C. cladosporioidesに対してはROSEWOOD、A. nigerに対してはCINNAMON leafであった。発育阻止持続日数の短いつまり発育阻止効果の弱い精油の揮発成分放散量の方が効果の強い成分よりも多い傾向にあったことから、放散量が発育阻止効果に与える影響は小さいことを確認した。
著者
小林 未佳 柚本 玲 若月 宣行
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b> ホールガーメント編機によりニットワンピースを製作する場合、一般的には編目の増減により成型する。本研究では編目の増減をせずに、編目の大きさを変えることによって成型する、新しい製作方法の検討を行った。<b>方法</b> ホールガーメント横編機MACH2X(8G)およびデザインシステムSDS ONE APEX3(SHIMA SEIKI)により、糸2/48(毛100%)を用い平編みで製作した。編目の大きさは、編機の糸引込み量の設定項目である度目値により変更した。肩からワンピース裾までのよこ方向の編目数を同じにし、度目値設定の変更により編目の大きさを変えた。この変更により起こる寸法変化を利用してワンピースの成型を試みた。ワンピースを円筒に見立て、前身頃と後ろ身頃を同幅で編成した。<b>結果</b> 編成可能な度目値の範囲は度目値30~80であった。度目値10ごと(30、40、50、60、70、80)の1目あたりのたてよこの編目長さを測定し、度目値と編目長さの関係式を得た。肩からウエストまでの前後身頃幅は、仕上り肩幅の長さとし、本編機で編成するのに最適な度目値50で編成した。この場合に必要なよこの編目数を関係式から算出し、編目数136で編成した。裾に向かって幅が大きくなるようにウエストから度目値50から10ずつ80まで上げた。その結果、上半身は身体に沿い、ウエストから裾に向かって広がるフレアスカートワンピースを成型することができた。
著者
田中 辰明 柚本 玲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.244, 2007

<b>目的</b> ブルーノ・タウトは日本では、著書「日本美の再発見」で日本建築の素晴らしさを世界に紹介した人物として知られている。1933年に日本に移住する前はベルリン市の住宅供給公社ゲハークの主任建築家、またシャロッテンブルク工科大学教授として活躍していた。1924年から1933年までの間に12,000戸の勤労者住宅を建設しており、それらは第二次世界大戦後も多数残っている。日本の団地にも大きな影響を与えた氏の作品を調査した。<br><b>方法</b> 調査対象はベルリン南部リッツの馬蹄形住宅フーフアイゼンジードリング・ブリッツ(1925-1930年:1963戸)、ベルリン西郊の森の団地ヴァルドジードリング・オンケルトムズヒュッテ(1926-1931年:1952戸)とした。後者には486戸の独立住宅、2軒を1棟とした住宅も含まれている。この2団地を中心にリューデスハイムプラッツ、アイヒカンプ、ヴァインガンドウーファー、シェラー公園、トリア通りの住宅について、住人への聞き取り、住宅内部調査を含め実地調査した。<br><b>結果</b> 氏の住宅ではヴィーゼと呼ばれる太陽を取り込み芝生のある庭が設けられている。また車の普及を予想し駐車場を確保したり、自然通風に配慮したりと住民への配慮が行き届いている。第二次大戦後の奇跡の復興による立派な住宅が多いベルリンでタウトの労働者住宅は決して目立つものではない。しかし、第一次大戦敗戦後に労働者が住宅に困窮した時代、「戦後復興は住宅から」という確固たる思想で、労働者の健康に配慮した団地建設を行なったタウトの仕事は賞賛されるべきである。リッツ、オンケルトムズヒュッテには住まい手に大変感謝されていることがしのばれるタウトの顕彰碑が建っている。
著者
福永 陽 柚本 玲 今井 綾乃 田中 辰明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.238, 2004 (Released:2005-04-02)

<目的>衣類保管時に、市販防カビ・防虫剤を使用するが、それらの中にはシックハウスの原因の一つとされるパラジクロロベンゼンなどの化学物質が含まれているものも少なくない。一方、防カビ作用があるとされる天然物についての報告はあるが、居住環境中に見られる真菌に対する抗菌性の報告例は少ない。そこで本研究では衣類保管を想定し、衣類から分離した2種の真菌について、香味野菜の揮発成分による真菌の発育抑制効果を明らかにした。<方法>試料は香味野菜15種(ナガネギ・ショウガ・タマネギ・ニラ・セロリ・ミツバ・エシャロット・ローレル・サンショウ・カラシ・ワサビ・トウガラシ・シソ・パセリ・ローズマリー)。PDA培地にCladosporiumを三点培養したシャーレの蓋に、細かく砕いた試料を、培地に触れないように各1、3、5gずつ設置した。25℃で7日_から_30日間培養後、発育抑制効果により試料を以下のように分類した。_丸1_効果大;7日以上発育抑制。_丸2_効果小:7日未満で発育確認。<結果>ナガネギ・タマネギ・エシャロット・ワサビ・カラシの5種が効果大であった。今回、ニラを除くすべてのユリ科の試料で効果大となった。ニラに関しては、試料の腐敗によるコンタミが見られたので、効果が見られなかったと考えられる。
著者
田中 辰明 平山 禎久 柚本 玲
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集
巻号頁・発行日
vol.33, no.136, pp.1-5, 2008

ブルーノ・タウト(Bruno Taut)が設計した集合住宅ジードルング、および独立住宅の旧自邸について、その時代の建築設備を考察した。その結果、集合住宅ジードルングでは、鋳鉄製や陶製の暖炉が用いられていたが、独立住宅の旧自邸では、当時普及し始めた重力式温水暖房を設置していた。玄関と反対側の扉の間に風の通り道を作り、また、階段の煙突効果を利用して、自然に通風がなされるよう工夫を凝らしていた。ジードルング、旧自邸ともに改修を経て現在も使用され、その間、暖房機器が暖炉から重力式温水暖房、そしてポンプ式暖房へと変遷した。