著者
吉田 達郎 小笠原 靖 岡田 千穂 押賀 佐知子 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.60, 2008

<BR>【目的】<BR> 食酢を用いた減塩調味は実際の料理で広く利用されているが、どの程度の食酢の添加が減塩に効果があるのか詳細な検討は為されていない。本研究は実際の料理において食酢の添加が塩味に及ぼす影響を官能評価によって調べ、食酢を用いた減塩調味に関する知見を得ることを目的とした。本研究では、食塩濃度が異なり塩味強度が有意に識別される2種の料理が、食酢の添加で塩味強度が有意には識別されなくなることを減塩効果と定義した。<BR>【方法】<BR> 1)具材を含む中華スープ;酸度0.01~0.04%となる量の食酢を食塩濃度の低いスープにのみ添加し、食塩濃度の高いスープと塩味強度を2点識別法で比較した。2)サンラータン;両方のスープに酸度0.135%となる量の食酢を添加した場合を同様に調査した。3)豆腐;醤油に食酢を加えた酢醤油を豆腐にかけた場合の塩味強度を醤油単独の場合と比較した。また、食酢の代わりに水で希釈した醤油の評価も実施した。<BR>【結果】<BR> 1)では米酢で酸度0.01%、穀物酢で0.02%、米黒酢で0.04%分の食酢の添加で減塩率12.5%の減塩効果が確認された。2)では3種の食酢で減塩率12.5%および25%の減塩効果が確認された。3)では減塩率12.5%の減塩効果は確認できなかったが、同じ食塩濃度での比較では希釈した醤油よりも酢醤油の方が塩味が有意に強かった。1)3)で食酢の添加による塩味の増強効果が確認されが、その場合の食酢の濃度範囲や減塩効果は限定的であった。一方、3)で酸味を感じるために塩味が弱くても嗜好されたことや2)で酸味を強く利かせた場合に塩味の差が識別されなくなったことから、塩味の不足を酸味で補う調味法もまた有効な減塩法であると考えられた。

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