- 著者
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小笠原 靖
岡田 千穂
赤野 裕文
畑江 敬子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.1081, 2009
<BR>【目的】食酢を利用した肉の軟化法として、生肉を食酢等の酸性調味料に漬け込む(マリネする)方法については詳細に研究されている。しかし、食酢やレモン等の酸を用いて肉を加熱調理する料理は世界各国にあるものの、加熱調理時の肉の軟化効果に関する研究はほとんどなされていない。そこで、本研究は食酢を用いた加熱調理における肉の軟化効果について調べることを目的とした。<BR>【方法】1.食酢溶液、および、食酢と他の調味料(食塩、砂糖、醤油等)の混合溶液で煮た豚ヒレ肉、豚ロース肉、鶏ムネ肉の硬さをテクスチュアアナライザー分析と順位法による官能評価で調べた。また、加熱後の肉の水分量を測定した。さらに、豚ロース肉を用いてコラーゲン溶出量をアミノ酸分析計で調べた。2.肉の加熱時に食酢と他の調味料の添加順を変えた場合の豚ロース肉の硬さをテクスチュアアナライザーで調べた。また、順位法による官能評価で硬さと味の評価を行った。<BR>【結果】1.食酢溶液で煮た肉は水で煮た肉よりも軟らかかったが、食酢と食塩または醤油の混合溶液で煮た場合にはその効果が低下した。食酢と砂糖の混合溶液の場合にはその効果が保たれた。食酢溶液で煮た場合は肉の水分量、及び、コラーゲン溶出量が多かった。2.最初から食酢と砂糖と醤油で加熱する調理方法よりも、始めに食酢と砂糖のみで加熱し、後に醤油を加えて加熱する調理法の方が肉を軟らかくできた。味の嗜好性には有意差が無かった。また、最初に醤油と砂糖で加熱しておき、次に食酢のみの溶液に移し変えて加熱する調理法も同様に肉を軟らかくできた。これらの調理法を活用することで、食酢を利用し肉を軟らかく美味しく調理できるものと考えられた。