著者
岡野 節子 堀田 千津子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.33, 2008

<BR>【目的】<BR> 伊賀市西山地域・春日神社では毎年10月14日~15日には秋祭りの例祭「なすび祭り」が行われる。その神饌に生撰として「二又なすび」が珍重とされ、その他に「米」、「野菜」、「酒」、「果物」などが供えられる。また、上述以外に1)なすびは包丁を加え、調理したもの(なすびの味噌煮)。2)米は蒸して木槌でたたき、成形したもの(キョウ)。3)生米を横杵で搗いて藁苞に入れ固めたもの(シトギ)を神饌とする。三重県の祭りのなかでも祭礼や神饌に特徴あるものと思われるので紹介する。<BR>【調査方法】<BR> 調査地域:伊賀市西山地区の春日神社、調査時期:2007年10月14日~15日、調査方法:現地においての聞き取り調査と写真撮影<BR>【結果】<BR> 1)秋祭りの神饌は生撰と熟撰で構成されていた。生撰には「二又なすび」を中心に米,野菜、果物、塩、酒が供えられ、熟撰は「なすびの味噌煮」、「キョウ」、「シトギ」の神饌であった。2)奇形である「二又なすび」を生撰とし、奇形でない「なすび」は熟撰としている。3)熟撰の「なすびの味噌煮」、「キョウ」は「蒸す」と言う調理法で行われている。また、「キョウ」は米を蒸す、搗く。そして飯粒を崩し固め、型で抜くものであった。4)「なすびの味噌煮」に用いられる調味料は味噌のみであった。現在、生撰がほとんどであるなか熟撰を行っているのは、祭りの行事と熟撰の食べ物が受け継がれてきたこと。それは次世代の共有性につながってゆくのではないかと考えられる。

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