- 著者
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山田 功
木村 富士男
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2003, pp.151, 2003
<U>はじめに</U><BR>雲の存在は日射の遮蔽や放射を通して大気に影響を与えるため、雲量に関する研究は気象学、気候学にとって非常に重要である。水平スケールの小さな雲であっても大気放射への影響は大きい.しかし,陸上に出現する小さな雲は,大規模な雲に比べ衛星による観測が難しく十分な解析が行われていない。また下層にできる積雲は、地形の影響を強く受けると考えられるが、空間分解能の制限から数値モデルでの取り扱いも難しい.このため観測データを用いて小さな雲の雲量について明らかにすることが重要である。<BR>これまで、晴天日の山岳域を対象とした日照率(一時間のうち日照があった時間の割合)の研究がなされており、日照率は山では午後に急激に低下すること、盆地では一日を通して高いことが指摘されている(木村、1994)。しかしながら平地を対象とした日照率の研究は行われていない。そこで本研究では夏季晴天日の関東平野における日照率について明らかにすることを目的とする。<BR><U>解析方法</U><BR>データはアメダス日照時間の一時間値を用いた。解析に用いた晴天日は、対象領域内のアメダス観測点における一日の日照時間の平均が6時間を超える日とした。また観測点を地形によって沿岸、内陸(平地)、山、及び盆地の4種類に分類し、日照率を比較した。さらにゾンデ観測のデータから相対湿度の鉛直プロファイルと日照率との関係について考察した。<BR><U>結果</U><BR>各観測点における晴天日の平均的な日照率を地形別に平均した(図1)。以前から指摘されていたような山岳域における地形依存性に加え、平坦な地形であっても日照率に有意な差のあることが明らかになった。平坦な地形である沿岸(COAST)と内陸(INLAND)の日照率を比較すると沿岸のほうが一日を通して高い。特に銚子のような岬で高い傾向にあった。<BR> ゾンデ観測データにより輪島と館野の相対湿度について比較したところ、より内陸に位置する館野では下層で相対湿度のピークを持つことが多かった。このことから日照率の差と混合層の発達との関係が推測される。<BR>しかし、沿岸と内陸の日照率の差は山と盆地の日照率の差より小さい。また夕方以降は山沿いで日照率の低下が強く見られた。<BR><U>参考文献</U><BR>木村富士男 1994. 局地風による水蒸気の水平輸送-晴天日における日照時間の地形依存性-. 天気 41:313-320.