- 著者
-
渡邊 幾子
植田 和美
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.211, 2010
【<B>目的<B>】ういろうは蒸し菓子の一種であり、小田原、名古屋、山口などの特産品として知られている。徳島県では寛政年間に和三盆糖で蒸し菓子を作り桃の節句に食したのが始まりとされる「阿波ういろう」がある。そこで、アンケート調査を行い「阿波ういろう」に対する認識を把握するとともに物性測定および官能検査からその品質特性と嗜好性を検討した。<BR>【<B>方法<B>】徳島県在住者を対象に2008年5~7月に質問紙法によるアンケート調査を実施した後、「EXCEL太閤」を用いて集計し解析を行った。主な調査項目は「阿波ういろう」の嗜好、イメージ、伝承意欲などである。次いで、徳島県下で販売されている「阿波ういろう」10種類(A~J)を試料として破断強度、色彩、糖度を測定した。また、本学学生をパネルとして官能検査(評点法)を実施した。<BR>【<B>結果<B>】アンケート調査の有効回答者数は354名であった。「阿波ういろう」の知名度は76.6%、飲食経験者は68.9%であった。飲食経験者の76.0%が「好き」「まあまあ好き」と答えており、嗜好では性別による有意差(p<0.05)がみられた。そのイメージは「美味しい」「素朴」「徳島の伝統菓子である」が上位を占めていた。「伝承していきたい」は49.2%を示し、35.4%が回答した「作ってみたい」では年齢間で有意差(p<0.01)があった。物性測定からは、試料間により破断強度、色彩、糖度に差異がみられた。官能検査の総合評価には、外観、味、甘さの好ましさが影響していると考えられた。また、破断強度の値が極端に高い3試料と低い1試料では官能検査の食感(嗜好)も低くなっていた。