著者
渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.175, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】ういろうの歴史は古く鎌倉時代に中国から伝わったとされる。名古屋、山口、京都をはじめ全国各地でういろうは作られており、主原料やその配合割合により特性があると考えられる。徳島でも全国的な知名度は低いが小豆あん、米粉、砂糖を主原料とした阿波ういろう(以下、阿波)が寛政年間に作られ始め、現在も親しまれている。アンケート調査から、ういろうの有名な地域としてあげられた名古屋、山口の市販ういろう(以下、名古屋、山口)と阿波を比較検討し、その地域特性を明らかにすることを目的とした。【方法】2008年度にアンケート調査を実施し、その結果から名古屋と山口の各5種ずつを用いて、破断強度、水分含量、糖度、色彩を測定し、阿波10種と比較検討した。【結果】アンケート結果から、ういろうが有名と思う地域は名古屋が72.7%と最も高く、徳島24.2%、京都3.5%、山口2.5%と続いた。これはアンケート対象者が徳島県在住者であることが影響し、徳島が2位となったと考えられた。ういろうの品質表示から主原料は、阿波が米粉、名古屋は米粉と澱粉、山口は小麦粉、澱粉およびわらび粉を使用している傾向がみられた。これらの破断強度を測定した結果、破断応力では阿波が9.311×104N/m2と最もかたく、名古屋5.135×104N/m2と山口5.667×104N/m2は近似していた。水分含量では阿波が34.65%と最も少なく、名古屋44.34%、山口44.47%となった。いずれも阿波と名古屋、阿波と山口で有意に差(p<0.01)がみられた。この3地域の比較から、阿波は水分含量が少なく、かたいという特性がみられた。
著者
三木 章江 後藤 月江 渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】我々は、徳島県海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究に取り組んでおり、鞆浦漁協の名物である大敷網漁(定置網)で水揚げされる未利用魚の有効活用を検討してきた。本研究では、鞆浦漁協における大敷網漁で水揚げされたシイラ・クロサギの調理および加工適性から活用方法を検討し、未利用資源の有効な活用を図ることを目的とした。<br />【方法】シイラとクロサギを試料とし、調理・加工特性を考慮して活用方法の検討を行った。シイラは様々な形態や味付けで活用可能であるというこれまでの結果をベースに、すり身としてアイスクリーム、ほぐし身にしてパイ、切り身を使った料理、そして無塩干物のバーガーへの活用を検討した。また、クロサギは魚臭さの軽減を目的として、ドーナツ、フィッシュカツ風フライ、ボーロへの活用を検討した。各試作品については、本学および鞆浦漁協で開催された「とれとれ市」において官能評価を実施し、総合的な品質評価とした。<br />【結果】官能評価の結果より、シイラは淡泊な味であるため「さかなパイ」、「おさかなアイス」の菓子にも活用が可能であることが示唆された。シイラの切り身を利用した料理では「ロールキャベツ」の評価が高く、シイラの無塩干物を使用した「フィッシュバーガー」も好評であった。また、クロサギの活用では、牛乳に浸漬することで風味や食感が向上し「ドーナツ」への活用の可能性が示唆された。「おさかなボーロ」においては、香りの強いラム酒を添加することで魚臭さが軽減され、高評価に繋がった。「フィッシュカツ風フライ」ではカレー粉の使用が風味の改善に寄与していた。未利用資源を有効活用するためには、検討したシイラ・クロサギの活用方法を広く発信することが重要であると考える。
著者
渡邊 幾子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】レンコンは徳島県の特産物であり収穫量も全国上位である。しかし、規格外品や傷つき青果市場へ出荷できないものは廃棄されている。これら未利用資源は環境への配慮から有効活用する取り組みが進められ、手軽に利用でき保存性の高いレンコンパウダーが開発された。本研究では、レンコンおよびレンコンパウダー(以下、パウダーとする)に関するアンケート調査を実施するとともに、パウダーを配合した食品を調製し、その嗜好性について検討した。<br><br>【方法】徳島県在住者を対象として、2017年6月から7月に自記入方式でアンケート調査を実施した。レンコンの特産品としての認知度、パウダーの認知度、イメージや食べてみたい料理などについて調査結果を集計、分析をした。徳島県鳴門市産のパウダーを配合した蒸しパン(0%、10%、15%)とお好み焼き(0%、10%、20%、30%)を調製し、本学学生および教員をパネルとして5段階評点法による官能評価を実施した。<br><br>【結果】アンケートの有効回答数は132枚であった。レンコンは82.6%の者が特産品として認知していたが、パウダーの認知度は33.3%と低く、パウダーが普及していないことが示唆された。イメージとしては、「様々な料理に使えそう」、「手軽」といった良い意見がある一方、「においが強そう」という悪い意見もみられた。食べてみたい料理は、「天ぷら」、「お好み焼き」、「パン」、「あんかけ」など粉類に混ぜる料理やとろみをつける料理が挙げられた。官能評価の結果、蒸しパンでは0%配合が最も好まれたが、お好み焼きでは全ての項目(外観、香り、味、食感および総合評価)において10%配合の評価が高かった。お好み焼きはパウダーを有効活用できる一品であると考えられた。
著者
渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.211, 2010

【<B>目的<B>】ういろうは蒸し菓子の一種であり、小田原、名古屋、山口などの特産品として知られている。徳島県では寛政年間に和三盆糖で蒸し菓子を作り桃の節句に食したのが始まりとされる「阿波ういろう」がある。そこで、アンケート調査を行い「阿波ういろう」に対する認識を把握するとともに物性測定および官能検査からその品質特性と嗜好性を検討した。<BR>【<B>方法<B>】徳島県在住者を対象に2008年5~7月に質問紙法によるアンケート調査を実施した後、「EXCEL太閤」を用いて集計し解析を行った。主な調査項目は「阿波ういろう」の嗜好、イメージ、伝承意欲などである。次いで、徳島県下で販売されている「阿波ういろう」10種類(A~J)を試料として破断強度、色彩、糖度を測定した。また、本学学生をパネルとして官能検査(評点法)を実施した。<BR>【<B>結果<B>】アンケート調査の有効回答者数は354名であった。「阿波ういろう」の知名度は76.6%、飲食経験者は68.9%であった。飲食経験者の76.0%が「好き」「まあまあ好き」と答えており、嗜好では性別による有意差(p<0.05)がみられた。そのイメージは「美味しい」「素朴」「徳島の伝統菓子である」が上位を占めていた。「伝承していきたい」は49.2%を示し、35.4%が回答した「作ってみたい」では年齢間で有意差(p<0.01)があった。物性測定からは、試料間により破断強度、色彩、糖度に差異がみられた。官能検査の総合評価には、外観、味、甘さの好ましさが影響していると考えられた。また、破断強度の値が極端に高い3試料と低い1試料では官能検査の食感(嗜好)も低くなっていた。