- 著者
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田原 美和
森山 克子
金城 須美子
東盛 キヨ子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.200, 2010
【<B>目的</B>】沖縄の祖先祭祀は、中国の流れを汲むものがあり、祭祀の供物や法要料理にも魚肉類を用いるなど精進料理とは異なる特徴がある。今回、「調理文化の地域性と調理科学:行事食」調査の中間報告として、沖縄の祖先祭祀の中でも中国との関連性のある清明祭、および盆行事に焦点をあて、その認知状況、供物の種類や喫食状況等について世代間の差異、伝統の継承について検討したので紹介する。<BR>【<B>方法</B>】沖縄県内在住の学生および親世代・その他を対象に、平成21年12月から平成22年4月にかけて質問紙調査ならびに聞取り調査を実施した。なお、本報での調査対象者は学生77名、親世代・その他92名の合計169名であった。<BR>【<B>結果</B>】沖縄の清明祭は旧暦の三月(清明節)、盆行事は旧暦の七月十三日から十五日まで三日間行われる代表的な祖先祭祀である。いずれの世代もその認知度は約9割と高いが、実際に行事を経験した事があると回答した者の割合はやや低くなった。主な供物は、乾肴と餅の重箱料理である。乾肴は豚三枚肉、昆布、ごぼう等の煮染め、揚豆腐、田芋のから揚げ、魚天ぷら、かまぼこ等、伝統的な料理形態が継承されている。調理状況等についてみると、以前は手作りであったが、現在はスーパー等で手軽に入手出来るので、購入すると回答した割合が高くなった。喫食状況は、高齢層ではほぼ全員が毎年食べると回答しているが、若年層ではやや低い。仏前には伝統的な重箱料理を供えながらも、若年層の嗜好の変化に対応し、オードブルなどを購入し喫食している。祭祀の際に喫食する料理の種類は多様化しても、供物としての重箱料理は今後も継承されていくものと推察する。