著者
安里 龍 友利 啓子 東盛 キヨ子 新城 澄枝 金城 須美子 山本 茂
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.219-236, 1995-07-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
80

Okinawa prefecture, consisting of the Ryukyu Islands in the southern part of Japan archiperago, is located in the subtropics. From ancient time, Okinawa had developed trading networks with China, Korea and many Southeast Asian countries and had received cultural influence from them. As the results, it is said that the foods consumed by, and food habits of, Okinawans, have been more similar to those in such countries than in Japan. The life span of Japanese has recently become longest in the world, and it has been longer in Okinawa than in any other prefectures. In this respect, special attention has been drawn to the historical aspects of Okinawan food habits. In the literature so far, however, typical foods, recipes and food habits in specific historical periods were documented but their compiled description throughout the history was lacking. This paper aims at a comprehensive description of the various events from the ancient time to the present to demonstrate their interrelation in a chronicle. Major a pects treated are introduction of foods, food production systems, food-processing, trades, marketing activities, food consumptions, religious roles of food services, and famines caused by natural and man-made disasters in relation to food habits.
著者
田原 美和 森山 克子 東盛 キヨ子 金城 須美子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-56, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
47

沖縄の代表的な祖先祭祀の一つである清明祭の伝来の経緯や行事食の変遷を概観し,併せて,日本調理科学会特別研究「行事食・儀礼食」調査の結果を世代別(若年層30代以下,中高年層40~80代)で比較しながら,清明祭の行事食が若い世代に受け継がれているのか考察を行った。沖縄の清明祭は,18世紀には中国の渡来人の集落(久米村)で執り行われており,その後,首里王府,士族,そして庶民へと伝わっていった。主な供物として,国王墓や久米村では,中国の三牲に倣ったウサンミ(御三味=豚・鶏・家鴨・魚など)を供えていたが,近年は,伝統を守っている所もあるが,大方その素材を用いた重箱料理に簡略化している。アンケート調査の結果,清明祭の認知度,経験の状況はいずれの世代も高い。行事の供物である重箱料理は,以前は手作りをしていたが,現在は一部既製品を利用する,購入するなどの割合が多くなり外部化傾向がみられる。こうした状況から,若い世代は清明祭の概要について認識はしているが,食材や調理の知識や体験が少なく,次世代への伝承が危惧される。今後は,調理技術や家庭の味を守り,受け継ぐために,清明祭の意義を理解させ,家庭や地域,教育機関等で行事食の習得を促進するなど,積極的に関わる必要があると考える。
著者
外間 ゆき 桂 正子 東盛 キヨ子 金城 須美子 宮城 節子 尚 弘子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.331-336, 1987-12-20
被引用文献数
1

琉球料理における豚肉の部位別加熱調理による脂質成分の変動について実験を行い、次のような結果を得た。1. 豚肉各部位の廃棄率は骨付きの豚足で最も大きく、次に肺臓、腎臓の順で大きかった。2. 加熱調理による重量変化値は筋肉組織で高く、皮部と結合組織の大きい部位では低かった。3. 一般成分は生肉に比べて調理肉では概して水分パーセントが減少し、たんぱく質の割合は増加した。脂質は肋骨肉、胃腸でその割合の減少がみられた。4. 総コレステロールは内臓に多量に含まれていた。5. 加熱調理による脂質量と総コレステロール量間の変動は正の相関が高く、p<0.01で有意であった。6. 皮付き三枚肉の長時間加熱による脂質量の経時変化では加熱初期の30分で4%、その後徐々に減少し4時間加熱で15%減少した。さらに調味加熱することで減少率は高くなった。7. 琉球料理における豚肉料理では、長時間加熱を行うことで脂質成分の減少の高いことが明らかになった。
著者
田原 美和 森山 克子 金城 須美子 東盛 キヨ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.200, 2010

【<B>目的</B>】沖縄の祖先祭祀は、中国の流れを汲むものがあり、祭祀の供物や法要料理にも魚肉類を用いるなど精進料理とは異なる特徴がある。今回、「調理文化の地域性と調理科学:行事食」調査の中間報告として、沖縄の祖先祭祀の中でも中国との関連性のある清明祭、および盆行事に焦点をあて、その認知状況、供物の種類や喫食状況等について世代間の差異、伝統の継承について検討したので紹介する。<BR>【<B>方法</B>】沖縄県内在住の学生および親世代・その他を対象に、平成21年12月から平成22年4月にかけて質問紙調査ならびに聞取り調査を実施した。なお、本報での調査対象者は学生77名、親世代・その他92名の合計169名であった。<BR>【<B>結果</B>】沖縄の清明祭は旧暦の三月(清明節)、盆行事は旧暦の七月十三日から十五日まで三日間行われる代表的な祖先祭祀である。いずれの世代もその認知度は約9割と高いが、実際に行事を経験した事があると回答した者の割合はやや低くなった。主な供物は、乾肴と餅の重箱料理である。乾肴は豚三枚肉、昆布、ごぼう等の煮染め、揚豆腐、田芋のから揚げ、魚天ぷら、かまぼこ等、伝統的な料理形態が継承されている。調理状況等についてみると、以前は手作りであったが、現在はスーパー等で手軽に入手出来るので、購入すると回答した割合が高くなった。喫食状況は、高齢層ではほぼ全員が毎年食べると回答しているが、若年層ではやや低い。仏前には伝統的な重箱料理を供えながらも、若年層の嗜好の変化に対応し、オードブルなどを購入し喫食している。祭祀の際に喫食する料理の種類は多様化しても、供物としての重箱料理は今後も継承されていくものと推察する。
著者
外間 ゆき 新垣 博子 尚 弘子 宮城 節子 桂 正子 金城 須美子 東盛 キヨ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.145-153, 1980-04-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14

In an attempt to assess the actual condition of everyday food taken by the people in Okinawa during the period covering from the late Meiji through the early Taisho eras, the following two approaches were taken; (1) A survey of existing old literatures, (2) Fact-finding interviews with 72 persons of old ages. The main findings of our studies are as follows : 1) From the survey of literatures, it was judged that the food intakes of the ordinary people during the late Meiji era were very poor and meager.2) The physical measurement of school children were below the national norms and the difference became larger as the age progressed, and the children as a group showed a body type with a relatively bigger chest measurement compared with the height.3) The production of the sweet-potatoes being predominant, the typical meal regardless of the time of meals during the day consisted of a simple combination of boild sweet-potatoes and soup. Sweet potatoes, which were suited as supplementary diet, were also taken as between-meal snack. Production of soy-bean was relatively high and the home-made Tofu was an important source of protein. Among the main vegetables were sweet-potato leaves, towel gourd, balsam pear, etc. and such wild vegetables as Yomogi, Nigana, Nobiru etc. They were used in soup, cooked, fried or dressed food.4) The main preserved foods included black sugar-pickles, dried bean leaves, salted pork, salted fishes, etc. Tofuyo was cited as an unusual food characteristic to this part of Japan.
著者
安里 龍 友利 啓子 東盛 キヨ子 新城 澄枝 金城 須美子 山本 茂
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衞生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.219-236, 1995-07-30
参考文献数
81
被引用文献数
2

Okinawa prefecture, consisting of the Ryukyu Islands in the southern part of Japan archiperago, is located in the subtropics. From ancient time, Okinawa had developed trading networks with China, Korea and many Southeast Asian countries and had received cultural influence from them. As the results, it is said that the foods consumed by, and food habits of, Okinawans, have been more similar to those in such countries than in Japan. The life span of Japanese has recently become longest in the world, and it has been longer in Okinawa than in any other prefectures. In this respect, special attention has been drawn to the historical aspects of Okinawan food habits. In the literature so far, however, typical foods, recipes and food habits in specific historical periods were documented but their compiled description throughout the history was lacking. This paper aims at a comprehensive description of the various events from the ancient time to the present to demonstrate their interrelation in a chronicle. Major a pects treated are introduction of foods, food production systems, food-processing, trades, marketing activities, food consumptions, religious roles of food services, and famines caused by natural and man-made disasters in relation to food habits.
著者
金城 須美子 田原 美和 Kinjo Sumiko Tahara Miwa
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.47, pp.181-189, 1995-10

米国統治時代、沖縄に導入された洋風(米国系)ファーストフードが、沖縄県民の食生活にどの様に受け入れられているのか、その利用状況と意識調査を行った。調査対象は琉球大学学生と社会人(沖縄銀行行員)である。その結果は次の通りであった。1.琉球大学学生の県内出身学生は県外学生に比較して洋風ファーストフードの利用頻度は高く、外食産業(飲食店)の中で最も多く利用している。利用回数は、月に2回以上と答えた者が県内学生は76.8%で県外学生の52.2%に比べて多い。2.洋風ファーストフードの嗜好性については、県内・県外学生で大差はないが、ビックマック、モスバーガー、ピザ、タコスなどは県内学生に好まれている。3.洋風ファーストフードを利用することについて、琉球大学学生は肯定的な意識があり、今後も取り入れたいとする者が約60%あった。4.社会人の洋風ファーストフードの利用頻度は若い年代ほど高いが、50代以上の年代でも月1回以上利用している者が約50%であった。また、今後も食生活に取り入れたいと回答した者が、どの年代も54%以上あり、利用することに肯定的な意識をもっている。5.米国資本のA&Wが導入されて30年を経た現在、洋風ファーストフードは手軽な食事、あるいは間食・主菜に利用され、沖縄の食生活スタイルに定着している。これは米国統治によって、県民がアメリカ型食生活を直に体験し、それを受け入れたことが大きく影響していると考える。
著者
友利 知子 金城 須美子
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.493-503, 1970-12-01

1穀類の支出と収入要因との関係をみると穀類の支出(F)=6.992+0.0035I(収入)となり, 収入が$10.00増すごとに$0.035の割で支出し, 米, パン, 麺の順で増加する。これは, 野菜や蛋白質食品に比べるとはるかに小さい。2家族人数との関係をみると, 穀類の支出(F)=1.5324+1.26705N(家族数)となり, 家族人数が1人増えると$1.27の割で支出し, 収入要因より穀類に与える影響は大きく, なかでも米, 麺, パンの順に増える。3穀類の支出金額ならびに購入数量構成比についてみると, 1人1日当り, 穀類への支出金額は約$0.06でそのうち, 77%を米に9%をパン, 8%を麺に支出し, 小麦粉及び小麦加工品, 米の加工品, その他は僅かであった。又穀類の1人1日当り購入数量は265gでその構成は米が81%(216g)麺9%(24g), パン7%(18g)で小麦粉や, 小麦加工品, その他は少なく, 全体の3%(7g)程度であった。4主食の構成と調理法をみると, 米が多く, 1日平均の米食率は74%で, パン食が14%, 麺食率12%であった。朝, 昼, 晩を比較してみると, 米食は晩が最も多く, パン食は, 朝昼, 麺食は昼に多かった。調理法をみると, 米は米飯が多く, すし, 焼めしなどの調理法は少なかった。パンは朝食, 昼食とも, トーストが多く, サンドイッチは案外少ない。その他, 菓子パンが比較的多い。乾麺ではラーメンが最も多く, 沖縄でのインスタントラーメンの普及はかなり高いと思われ, 朝からラーメンを食している家庭もかなりある。そばも焼きそば, 汁そばの調理法が多く, これも意外と朝に多くみられた。その他, ソーメンは汁もの, マカロニーは夕食にサラダとして用いられている。茹めんの中では, 沖縄そばが多く, 調理法は汁そばが多く朝食にもみられる。昼食には焼そばが多く, うどんやスパゲッティーは大変少ない。これまで, 数回にわたって, 沖縄における主な食品(野菜, 蛋白質食品, 穀類)の消費構造を統計庁が行っている家計調査の原票をもとに, 1)各階級における支出金額と1人1日当り支出金額および支出構成比2)回帰線による支出の傾向的変動, 3)その支出弾力性より考察して下記のような結果を得た。[table]これより, 沖縄におけるそれらの収入弾力性は日本より遙かに小さく, 米国なみのところに来るのではないかと思われるが, 沖縄の場合は別の考察が必要となってくる。これは, 沖縄の住民栄養摂取状態や本研究における1人1日当り購入数量, ならびに金額からみてもうなづけることで, 決してアメリカのような満ち足りた食生活をした上での数字でなく, 沖縄の人々の生活意識や根強い食習慣が消費支出の伸びを停滞させ, 食生活の立ちおくれをもたらしているのではないかと考える。
著者
外間 ゆき 東盛 キヨ子 金城 須美子 桂 正子 宮城 節子 尚 弘子 福田 亘博 知念 功 玉那覇 直
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1.研究目的 昭和60年ー63年度の4年間、沖縄の長寿者の食生活と生活状況について聞き取り調査を行ない、その利用食品の中から特徴のあるものの食品分析と動物実験による生理的効果を検証して、長寿と食生活との関係を考察することを目的とした。2.方法 (1)聞き取り調査は80歳又は85歳以上、総数168人、本部町・与那城村・知念村・那霸市・粟国村・伊江村・伊是名村の7地区で家族構成、日常生活、食生活、栄養素・食品摂取、身体状況について行った。(2)食品分析は豚肉、海藻、味噌の一般成分、微量成分について行った。(3)動物実験は豚肉料理、海藻、茶を飼料として脂質代謝への影響をみた。3.結果 沖縄の長寿者達は転居が殆んどなく、持ち家率が95%と高く三世代同居が多く、家族にも長寿者が多かった。日常生活においては睡眠を充分とり、軽労又は運動を積極的に継続し、精神的なゆとりを持つよう心がけ、食事は一日三食、腹八分を心がけ、過度の飲酒、喫煙をつつしんでいた。栄養素摂取率では所要量に対し、エネルギーは80ー86%、たんぱく質は73ー81%でビタミンAとビタミンCは100%を超えて摂取していた。食品群別摂取量は穀類、野菜類、大豆製品、魚介類の順に多かった。穀類エネルギー比は50ー53%で脂肪エネルギー比は25ー26%であった。豚肉料理志向は強い。ゆでこぼし、あく取りを行う長時間加熱調理によって豚肉の脂質、コレステロール量は減少した。脂肪酸組成はパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸が主であった。動物実験により"アシティビチ","中身の吸物"には脂質代謝改善効果のあることがわかった。ひとえぐさはβーカロチン、ビタミンCを含み抗酸化性が期待され、おごのりには脂質代謝改善効果が期待される。そら豆及びそてつ味噌のアミノ酸組成は普通味噌に比べて劣らなかった。香片茶にも脂質代謝改善効果が期待される結果を得た。
著者
金城 須美子
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.323-331, 1971-12-01

1 琉大の男子寮, 女子寮生を対象に食品の嗜好調査を行った。その結果, 肉料理, すし類, 果物, 野菜サラダの平均嗜好度は男女とも高く標準偏差も小さい。男子の肉料理に対する嗜好は女子より高い。特にビフテキは全食品中最も高い嗜好を示し偏差も1.04と非常に小さい。これは殆んどの男性が, 文句なしにビフテキを好んでいることが分る。これに対して女子は野菜サラダを最も好む食品としている。琉球料理のイリチーやチャンプルーはさ程好まれない。各食品に対する男女の嗜好の相違は顕著でないように思う。2 気候, 健康状態によって嗜好が異るかどうかを調査した。その結果, 夏と冬, それに疲れたときの食品に対する嗜好が異ることが分った。特に気候の影響が大きい。それ故, 食品の嗜好に及ぼす要因として性別よりも, むしろ季節, その他の要因が大きいと思われる。