- 著者
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八代田 千鶴
小泉 透
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.128, 2017
<p>森林におけるシカによる被害は、林業への直接的な被害だけでなく森林生態系にも深刻な影響を及ぼしている。被害防止のために、個体数管理を目的とした様々な捕獲技術が開発されているが、これらの技術は給餌による誘引を利用したものが多い。そこで本研究では、給餌による誘引効果と下層植生との関連について検討した。静岡県伊豆半島中央部に位置する伊豆森林管理署管轄の国有林内において調査を行った。調査時期は、夏季(2014年9月)、秋季(2014年10-11月)、冬季(2015年1-2月)、春季(2015年5月)とした。調査開始前に、植生調査(階層毎の植被率)、植物現存量調査(下層植物の刈取)を行い、その後1カ月間誘引調査(給餌場へのシカ出没状況)を行った。草本層の植被率は、広葉樹林で低く人工林で高かった。同様に、植物現存量も人工林で多い傾向にあったが、シカの不嗜好性植物が優占していた。秋季から冬季にかけて全ての調査区で完食されており、不嗜好性植物の現存量は誘引効果に影響しないと考えられた。夏季および春季は調査区によって傾向が異なったことから、この時期は現存量だけでなく植物種構成など他の要因の影響も大きいと考えられた。</p>