著者
濱西 栄司
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.55-69, 2017

<p>本稿の課題は, 「社会運動」研究領域において, 構築主義的研究が何を明らかにし, いかなる貢献を果たし, そこにどのように受け入れられ位置づけられてきたのかを検討することにある――構築主義と社会運動研究の重なりをふまえ, 本稿では後者から前者への影響についても検討する.</p><p>まず1節では, 検討の前段階として社会運動研究を, 方法論的に, 説明アプローチ (「社会運動」と同定された社会的事象の因果的メカニズムを説明するアプローチ) と解釈アプローチ (社会的事象の意義を「社会運動」を中心とした概念枠組みに基づいて解釈するアプローチ) に区分する. その上でまず2節では構築主義が, 初期資源動員論 (説明アプローチ) に影響を及ぼし, フレーミング論や特性分析を生み出してきたことを示す. また3節では構築主義が, 歴史的行為論 (解釈アプローチ) に影響を与え, 「特徴的な連帯」水準中心の解釈や社会問題/制度下の個人の経験分析を可能にしてきたことを指摘する.</p><p>次に4節では, 構築主義が焦点をあてるとする「語りと相互行為という人々の不断の働きかけ」それ自体が「社会運動」と重なることをふまえ, 初期資源動員論 (説明アプローチ) が構築主義の方法論的明確化を, また経験の社会学 (解釈アプローチ) が構築主義の相対化・複数化をもたらしうることを示す. 最後に構築主義の, (広義の) 社会運動研究への回収可能性にも触れる.</p>

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