著者
中嶋 彩乃 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.51, 2018

<p>2016 年7月に開催された中国国内最大の中国人バイヤー向け石の博覧会「中国昆明泛亜石博覧会」に招待され出展し、雲南省昆明近郊から産出する宝石・鉱物及び石材に触れる機会を得た。雲南省ではルビー・サファイア・エメラルドをはじめとし、多数の宝石や鉱物が産出されており、大理石等の石材も数多く産出されている。</p><p>会場では日本ではあまりなじみのない中国産の宝石・鉱物・石材が多数出展され、その中に石林彩玉や黄龍玉と呼ばれていた宝石があった。石林彩玉は産地を訪れる機会も得られ、調査を行った。</p><p>石林彩玉と呼ばれる宝石は、中国雲南省昆明市石林県イ族自治県から産出する赤、橙、黄色、暗緑色で不透明のアゲートである。特徴的なのはその名前の通り、色鮮やかなスポットが複雑に入り組んだ外観をしていることである。(図1)その天然の模様を活かしたカットが施され、流通している。その色の原因となっているのはニッケル、コバルト、クロム、マンガン、銅、鉄などの微量元素で、赤色や黄色が強い部位では鉄が微量元素として検出され、また、暗緑色の部位ではクロムが検出され、それらが色の原因となっていることが考えられる。</p><p>黄龍玉と呼ばれる宝石も、めのうであるがこちらは半透明黄色のカルセドニーである。雲南省保山市龍陵県小黒山を代表的な産地とするこの宝石は、石林彩玉のようなカラフルなものとは違い、黄色の濃淡の模様がたまに見られるだけである。こちらは彫刻に用いられたり、半透明の風合いや模様を生かしてカットされる(図 2)。微量元素としては鉄が検出されるのみでそれが黄色の原因となっていることが推測される。</p><p>黄龍玉は黄色を貴ぶ中国の玉文化の中で、現在翡翠に次ぐ石とされ、黄龍玉専門のオークションも開催され、多数のコレクターを有する。</p><p>また石林彩玉は、雲南省が積極的なプロモーションを行っており、全国で展開されている。</p><p>そのため、これらについて知識を持っておくことも必要と考えられる。</p>

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