- 著者
-
中西 浩一
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
- 雑誌
- 日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.2, pp.109-113, 2018
<p>WHO の「糸球体疾患の臨床分類」は,腎疾患管理において有用である。1) 急性腎炎症候群,2) 急速進行性腎炎症候群,3) 反復性または持続性血尿,4) 慢性腎炎症候群,5) ネフローゼ症候群の5 つのカテゴリーからなる分類である。本分類を使用するうえで最も重要なことの一つとして,それぞれのカテゴリーは病態であり,病名ではないことに留意する必要がある。特に,「急性腎炎症候群」と「急性腎炎」を混同してはいけない。本邦ではしばしば「急性糸球体腎炎」の「糸球体」がなく「急性腎炎」となっており,この言葉が日常の診療で「急性糸球体腎炎」として頻用されているため「急性腎炎症候群」と混同しやすく注意が必要である。すなわち,「急性腎炎症候群」は「急激に発症する肉眼的血尿,タンパク尿,高血圧,糸球体濾過値の低下,ナトリウムと水の貯留を特徴とする」病態であり,「急性腎炎」は「急性糸球体腎炎」を示す病名である。</p>