- 著者
-
伊藤 秀一
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
- 雑誌
- 日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
- 巻号頁・発行日
- pp.rv.2015.0005, (Released:2016-02-10)
- 参考文献数
- 16
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療に当たり,それが全身性疾患であるゆえ,治療開始前の網羅的臓器病変の評価は欠かせない。また,Sjögren 症候群,抗リン脂質抗体症候群の評価も行う。ループス腎炎は,小児SLEにおいてほぼ必発で,生命予後にも影響する臓器病変であり,治療法の決定に大きく影響するため腎生検は必須である。疾患活動性は,抗dsDNA 抗体,補体,赤血球沈降反応の3 指標で評価するが,皮膚,血球減少,神経ループス,血栓性検血小板減少性紫斑病については,これらの指標と関係なく発症する場合がある。SLE/ループス腎炎の治療の基本はステロイド薬である。一方,ステロイド薬の早期減量による低身長の防止,原病の再燃防止,腎不全への進行阻止のために免疫抑制薬の併用が必要である。2015 年に新たに承認されたMMF は,成人SLEでは寛解導入および維持に有効であり,小児にも広く用いられ,疾患予後を改善するであろう。今後のSLE の治療は,合併症や薬剤の副作用がなく,健常人と変わらない生活が可能となることを目標とする必要がある。