- 著者
-
中西 浩一
吉川 徳茂
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
- 雑誌
- 日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.2, pp.127-131, 2012-11-30 (Released:2012-12-22)
- 参考文献数
- 9
繊毛は細胞表面から突出する小器官であり,気管などに存在する運動性の繊毛と,ほぼすべての細胞に存在する非運動性の一次繊毛が存在する。一次繊毛の役割は長らく不明であったが,近年,一次繊毛とその関連構造物の遺伝子変異により腎嚢胞,肝臓・胆管異常,内臓逆位,多指症,脳梁低形成,認知障害,網膜色素変性症,頭蓋・骨格異常,糖尿病など多岐にわたる異常を生じることが明らかになった。これら一群の繊毛機能不全疾病を称して繊毛病(ciliopathy)と呼ぶ。腎徴候を呈する繊毛病としては,常染色体優性および劣性多発性嚢胞腎,ネフロン癆,Joubert syndrome,Bardet-Biedl syndrome,Meckel-Gruber syndromeなどがある。繊毛病の多くは腎嚢胞を合併するため,腎嚢胞は繊毛病の診断上重要である。