- 著者
-
知念 良之
芝 正己
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.130, 2019
<p>沖縄県における住宅の一般的な構造は鉄筋コンクリート造であったが,県外産プレカット材による木造建築の動きが報告され,戸建の木造率は2001年の4%から2017年の29%へ増加した。2015~2016年には,沖縄県の「国際物流拠点産業集積地域」で2つのプレカット工場が開設されるなど新しい動きがみられる。本研究では,この展開に着目し,プレカット工場進出の動機や活動実態,公的補助の適用の有無などを関連事業者に対するインタビュー調査を通して明らかにすることを試みた。プレカット工場は,いずれも県内供給が前提で,公的補助の適用対象となる県外出荷に関しては工場が所属する企業グループの得意分野や経営戦略の差異から判断が分かれていた。また,住宅の強度を重視して人工乾燥材を積極的に多用し,生産や出荷の調整を通して県内市場へ安定供給する役目を担っていた。これは,県外産プレカット材を取り扱う県内業者も同様であった。一方,県内の木材産業に対する認知度の低さや木造関連技術者の少なさから人手不足となり,生産が制限されていることやボイラー燃料需要が無いため加工時に排出されるオガ粉や端材の処理費用が生じる課題を抱えていることが明らかとなった。</p>