著者
畠山 輝雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-43, 2020
被引用文献数
1

<p>本稿は,全国の地方自治体へのアンケート調査により,公共施設へのネーミングライツ(以下,NR)導入の最新動向を明らかにし,その特徴について考察する.またそれを踏まえ,関連する既存研究と併せて今後の地理学的研究の可能性を探る.日本のNRは,地方自治体の脆弱財政下において官民協働や自主財源確保を目的とした広告事業の一環として導入されている.しかし,その導入状況には地域差が生じている.この理由として自治体の保有する公共施設の種類やスポンサーとなりえる企業等の立地状況が関係している.また,NR導入により施設名が変更されることで,施設名から地名が消失する事例も生じている.さらに,NR導入に対して,議会承認をはじめとする合意形成が行われていないことも明らかとなった.これらの課題に対して,経済地理学,行政地理学,地名研究,政治地理学,社会地理学をはじめとする地理学的研究の蓄積が望まれる.</p>

言及状況

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CiNii 論文 -  公共施設へのネーミングライツの導入と地理学的研究の可能性 https://t.co/vEW5p7ocVS #CiNii NRの導入は適した施設の保有とスポンサー企業の立地が鍵。名称変更による利便性やアイデンティティの問題は今後の課題になりそう。ほとんど住民の意思を問わず導入されているので要議論。

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