- 著者
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田中 伸和
江崎 伸一
讃岐 徹治
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
- 雑誌
- 日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.1, pp.39-45, 2020
<p>小児気管支異物は,急性期症状が見逃された場合,難治性肺炎として治療されることがある。さらに異物反応の慢性化に伴い摘出に難渋する。今回われわれは,滞留期間の違いで治療経過の異なる小児気管支異物の2例を経験した。症例1は1歳2カ月女児。節分豆を誤嚥した直後から24時間以内に診断・摘出し,良好な経過をたどった。症例2は1歳7カ月男児。持続する咳嗽から肺炎を疑われ,近医で2週間治療され,後の病歴聴取からアーモンドチョコレートの誤嚥が契機だったと判明した。泣き止まないことを主訴に総合病院救急外来を受診し胸部CTで縦隔気腫,頸胸部皮下気腫,左主気管支の陰影と左肺野過膨張を認め,気管支異物が疑われ,当院へ救急搬送され緊急手術となった。硬性気管支鏡で異物の同定が困難なため気管切開術を施行した。経気管孔的に鼻咽腔内視鏡を挿入したが,気管内の炎症が強く異物を摘出できなかった。全身管理と抗菌薬による肺炎治療を行い,硬性気管支鏡下で異物を摘出し救命しえた。長期滞留の影響で気管内の炎症が強い場合,複数回の手術も視野に入れた治療選択を検討すべきと考えた。</p>