著者
柳原 良江
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-92, 2019

<p> 代理出産は1976 年に米国で発明された商業的な契約である.当時の批判的な世論に影響された結果,商業的要素の低い人助けとしての位置づけがなされた.その後ベビーM事件により下火となるも,1990 年代に体外受精を用いる形で普及し,2000 年代からは生殖アウトソーシングと呼ばれる越境代理出産が流行し,世界的な一大市場を形成してきた.</p><p> このような代理出産には,乳児売買,かつ女性の赤ちゃん工場化であるとの批判がなされてきたが,後者は女性の〈妊娠・出産というサービス〉と解釈されることで,身体の商品化を免れるレトリックが構築されてきた.しかし代理出産の現状は,それが女性の生命機能全体の商品化であることを示している.</p><p> これら代理出産を支える論理は,生命科学知により分節化されつつ発展する「生-資本」が機能する社会の中で構築されている.そして代理出産市場は,このような社会で人の潜在的な〈生殖可能性〉を喚起しながら拡大を続けている.</p>

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"日本もまた同様に,自らが代理出産市場のアウトソーシング先へと変化した事実に直面して,初めて人々はその構造に気づくのかもしれない.""2010 年代後半から,人身売買の枠組みの中で改めて問い直され" →2019年

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こんな感じで、既に研究もされてて、論文もあるんだけどなぁ。なので、「えっ、今さら?とっくに問題視されてるよね?」みたいな気持ちではあった。 https://t.co/Uq0ibklMYX

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