著者
尾崎 孝宏
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.505-523, 2020

<p>本論は中国内モンゴル自治区中部における「旅游点」で展開されるエスニックツーリズムを事例に、筆者の実食データと対照させつつ、トランスカルチュラル状況の食文化の在り方について考察を加えることを目的とする。内モンゴルの旅游点で提供されるものは、食を中心としたエスニックツーリズムである。旅游点で提供される歌舞やアトラクションは、中国におけるエスニックツーリズムの大規模拠点である民族テーマパークにおける表象と連続性が見出される。一方、旅游点における食は、基本的にはと畜直後のヒツジの内臓と肉を塩ゆでで提供するという、モンゴル族の牧畜民における宴席の延長線上に位置づけることが可能である。メニュー構成の調節においてはゲストの嗜好性が反映されている一方、すべてを観光の場や漢族の眼差しに帰することは不適切である。例えば乳製品の抜絲(飴がけ)は、都市のモンゴル料理店で一般的に提供される。また、内モンゴルの内外で提供されるメニューがモンゴル料理店のメニューに取り込まれる過程にも、漢族との関係性への考慮は特に必要ない。エスニックツーリズムには異文化接触における身体性の適度な調節が不可欠である。内モンゴルの旅游点で出されるメニューに対してゲストが抱く安心感は、旅游点を訪れたゲストの直接的な経験とは切り離されているものの、都市のモンゴル料理店およびモンゴル族を中心としたその顧客を経由して構築されている。</p>

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