著者
Bauer Tobias
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.39-55, 2011

2009年11月に、ドイツ倫理審議会による赤ちゃんポスト及び匿名出産に関する見解が公にされた。それは、1999年以来ドイツに登場してきた赤ちゃんポスト及び匿名出産という事業のもつ倫理的・法的問題を指摘し、これを厳しく批判し、かつその廃止を要求するものであった。本稿は、ドイツのキリスト教諸教会及び赤ちゃんポスト等を運営するキリスト教系の福祉事業団体が、同見解に対して如何なる立場を採っているかを検証することによって、現下の議論におけるかれらの立場を明らかにしようとするものである。そのためにまず、ドイツ倫理審議会による赤ちゃんポストと匿名出産に対する反対の立場、次いで法的・倫理的問題を内包することを認識しながらも、なおかつこの事業を持続させる必要性を訴えるキリスト教諸教会の代表者による巻末に添えられた少数意見のそれぞれの論拠を考察した後に、赤ちゃんポスト等を運営するキリスト教系の福祉団体の反響を分析する。結論として、本稿は、キリスト教諸教会と同福祉団体には統一した立場は確認できず、赤ちゃんポスト及び匿名出産に対する立場は、実際の運営の経験と統計上のデータに対するそれぞれ異なる解釈がそれぞれ異なる立場をとらせる基となっている実情を明らかにする。

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CiNii 論文 -  ドイツにおける赤ちゃんポスト及び匿名出産をめぐる現下の議論にみられるキリスト教諸教会と同福祉事業団の立場 https://t.co/1umbbEsmN4

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