著者
山中 千恵 伊藤 遊 村田 麻里子
出版者
日本マンガ学会
雑誌
マンガ研究
巻号頁・発行日
vol.17, pp.76-85, 2011-03

近年「メディア芸術」に重点化した文化政策への関心が高まっており、中でもマンガを扱う文化施設が増えている。しかし、ちまたに流通しているマンガをあえて文化施設に収めること、またそれを人々が見に(読みに)訪れるとはいかなることなのだろうか。本論は、京都国際マンガミュージアムに注目し、2009年度に実施した来館者調査をもとに上記の問いに答えようとするものである。調査の結果、利用者の行動としては、館内でマンガを読んで過ごす図書館的な行動と、展示を見るように館内を観覧するような博物館的な行動に加え、このどちらにも回収できないような行動がみられた。本論ではこの3つ目の行動パターンに注目し、その特徴を分析する。このことを通じて、マンガ文化施設とは、単にマンガをどこかに集めればよい、あるいはマンガの展示を洗練させればよいという発想では捉えきれず、むしろ〈マンガ環境〉に注目した分析が今後必要とされることがわかった。

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