- 著者
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伊藤 雅隆
武藤 崇
Masataka Ito
Takashi Muto
イトウ マサタカ
ムトウ タカシ
- 出版者
- 心理臨床科学編集委員会
- 雑誌
- 心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.83-94, 2015-12-15
本稿の目的は,過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)に対しての認知・行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)について展望を行うことであった。有病率が約11%とされるIBSは機能性の消化器障害で,患者の多くがうつ病や不安症などを併発している。薬物療法で軽快しない事例などに,心理療法が適用され,その中でもCBTがその有効性を示している。IBSに対するCBTプログラムについて4種類に分類した。(a)認知療法を用いたもの,(b)ストレスマネジメントを中心にしたもの,(c)腸症状への不安を中心にしたもの,(d)マインドフルネスを用いたものに分類され,それぞれの特徴が示された。今後の課題として,併発症状やQOL改善を見据えた治療プログラムが必要であること,IBS の心理面の基礎的な研究が少ないこと,本邦での治療研究が必要であることが指摘された。研究動向