著者
佐藤 珠美 エレーラ C. ルルデス R. 中河 亜希 榊原 愛 大橋 一友
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.63-70, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

目 的産後女性の手や手首の痛みの有症率,痛みの出現時期,痛みの部位と手や手首の痛みの関連要因を明らかにする。対象と方法産後1年未満の女性876名に無記名自記式質問紙調査を行った。分析対象は産後1か月から8か月の有効回答514部(58.7%)である。調査内容は手や手首の自発痛の有無とその部位,痛みが発症した時期とその後の経過,痛みに影響を与える要因,属性とした。結 果35.2%の女性が産後に手や手首の痛みを保有していた。痛みの出現時期は妊娠期から産後7か月までと長期にわたっているが,産後1か月から2か月に出現した人が多かった。痛みの訴えは両側性が多く,左右の割合の差は少なかった。疼痛部位は橈骨茎状突起,橈骨手根関節,尺骨茎状突起,母指中手指節関節,母指手根中手関節の順に多くみられた。年齢,初産婦,手と手首の痛みの既往が痛みに関連しており,有意差を認めた。一方,母乳育児,産後の月経の再開,モバイル機器の使用時間との関連はなかった。結 論産後女性の3人に1人は手や手首の痛みを経験し,痛みの多くは産後1か月から2か月に出現していた。年齢が高く,初産婦で,手や手首の痛みの既往がある産後の女性では,手や手首の痛みに注意する必要がある。