著者
ガンバト ジャミヤン
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会年報 (ISSN:13484060)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.72-84,100, 2004-06-30 (Released:2009-12-03)
参考文献数
21
被引用文献数
1

モンゴル市場経済移行期の初期10年間においては,農村地域県の経済水準が低下し,医療水準などの社会状況も悪化した。そして人口の都市地域県への移動が増加した。特に,首都ウラーンバートル市を中心とした一極集中の開発傾向が進行している。このような状況は地域間の格差を拡大し,首都ウラーンバートル市自体に悪影響を及ぼしている。農村地域県の牧畜業は国民経済の発展にとって重要な要因であることに変わりはないということを考慮に入れると,農村地域県の社会・経済状況の改善措置は緊急課題といえよう。
著者
ガンバト ジャミヤン 吉野 悦雄
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.73-93, 2005-06-09

モンゴルは、市場経済に移行して国際社会から援助を受けるようになった。モンゴルは1991年から2002 年までの間に総額で23.6 億米ドルのODA を受けている。このODA 総額のうち日本からのODA 額は約36%を占めており、日本はモンゴルにとって第1 位のドナー国となっている。このような多額にのぼる外国ODA はモンゴルの社会・経済において疑いもなく重要な役割を果たしている。本稿では、モンゴルに対する外国ODA の実態を概観し、日本のODA の現状と課題について検討する。さらに事例分析を通じて日本のODA のモンゴル社会・経済に与えている効果について分析を行う。本稿の検討からはODA 法の整備の遅れが悪影響を及ぼしたことが分かる。日本のODA はモンゴルの経済インフラを中心として行われている。ODA 事業の失敗例もあるが、モンゴルに対する日本のODA は非常に重要な意義を持ち、欠かせない役割を果たしていると位置づけられよう。