著者
友松 篤信 伊藤 敞敏 ウィジャヤ ハニー ウスティオン ゼイン クメンドン ジョン 松山 晃
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.175-181, 1996-12-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
10

インドネシアのヤシ花茎から伝統的手法により採取した樹液と, それから作られる黒糖の一般分析および糖・有機酸の定量分析を行った.砂糖ヤシ (Arenga pinnata Merr.) , パルミラヤシ (Borassus flabellifer L.) , ニッパヤシ (Nypa fruticans Wurmb.) およびココヤシ (Cocos nucifeya L.) からの樹液は10~13%の糖を含み, その大部分はショ糖であった.樹液をインキュベートするとショ糖は微生物の作用により加水分解され, 大量のブドウ糖および果糖と若干のオリゴ糖が生じた.パルミラヤシ, ニッパヤシ及びココヤシはコハク酸, 砂糖ヤシはリンゴ酸の含量が最も高かった.砂糖ヤシとニッパヤシの樹液をインキュベートすると乳酸が顕著に増加した.樹液の糖全体に占める還元糖の比率はインキュベートによって12.5%から90.1%に顕著に増加した.黒糖における還元糖比は36.1~43.0%であり, 通常法によりサトウキビ搾汁から製造された黒糖の還元糖比より著しく大きかった.