- 著者
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並木 満夫
岡沢 精茂
松山 晃
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.6, pp.528-533, 1961 (Released:2008-11-21)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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以上著者らが味噌,醤油に対するγ線照射の効果に関して研究を行なったうち,本報においては味噌の湧きに対する効果を検討した結果を報告したが,これを要約すれば次の如くである. (1) まず,味噌湧きガス測定装置を用いて,各種の味噌の非照射対照試料についてガス発生状態を測定した.その結果30~32°で多糖少塩型の味噌では数時間後よリガスを発生し, 3日間位激しいガスの発生が続いたのち恒量に達する.ガス発生量は12~15ml/gであった.多塩型の味噌では7日目頃よリガスが発生し, 40日位で2~5ml/gのガスを発生して恒量になる. (2) 味噌をγ線照射した場合,多糖少塩型の味噌では5×105でガス発生量が約半量に減じ, 1×106rでは1/3以下に抑えられる.多塩型の味噌では2.5×105rで約半量に減じ,5×105rでほとんど抑制された. (3) 湧きガスを採取して化学分析,赤外分析,ガスクロトグラフィーを行った結果,その99.5%以上が苛性アルカリ可溶で,生として炭酸ガスを含むほかエチルアルコールの存在が確認された.発生したガスの組成については,照射,非照射の間に差異はみとめられなかった. (4) 照射とその後の弱い加熱処理の併用は,そのいずれの単独処理の場合よりも湧きガスの発生を抑制し,相加的な効果が認められた. (5) 上記の分析結果及び湧いている味噌,湧いていない味噌の微生物の生菌数測定結果からも,湧きの現象がアルコール醗酵を含む後醗酵にもとづくと考えられる.しかし,続報の徴生物の動態と比較考察した場合,酵母類では照酎後減少した生菌数が急速に回復して非照射の対照と同じになるが発生ガス量が少いので湧きが酵母類の後醗酵のみに起因するかどうかは検討を要する.