著者
サハ ウタム クマール カン モハマド シュヒドゥル イスラム ハイダー ジャミル サハ ルパ ラニ
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.268-274, 1997-12-01
被引用文献数
1

タマネギ(Allium cepa L.)の一品種であるTaherpuriの栽培における最適潅漑基準を設けるため, 潅漑条件の違いによる収量と水分利用について圃場試験を行った.なお, 試験はBangladeshのMadhuper Tract(agro-ecological zone No.28)において行い, 圃場容水量の90,80,70および60%となる潅漑区(DFCMがそれぞれ10,20,30および40%)を設けた.DFCMが10%と20%の潅漑区において, そのりん茎収量はそれぞれ16.29ton/ha, 16.27ton/haであり, 無潅漑区(6.80ton/ha)と比べて約140%高かった.また, DFCM30%, 40%潅漑区, およびpanによる水分蒸散量(CPE)に対する割合が0.50,0.75,1.00の水量で潅漑を行った区のりん茎収量も無潅漑区を上回ったが, 上述の2区には及ばなかった.この2区の総水分利用量はそれぞれ263,274mmと見積もられ, 潅漑期間中の潅漑水利用効率もこれらの区で最大となった.これより, 試験地と同様の気候条件を持つ地域において, タマネギ品種の収量ポテンシャルおよび潅漑水利用効率を最も高めるための最適潅漑基準はDFCM10〜20%であることが明らかとなった.
著者
サハ ウタム クマール ハスナット モハマド アブル ハイダー ジャミル サハ ルパ ラニ 河合 成直
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.71-77, 1998

1993~1994年にかけ, Bangladesh, Gazipur, SalnaにあるInstitute of Postgraduate studies in Agricultureの圃場においてキャベツ (<I>Brassica oleracea</I> var. <I>capitata</I> L.) の潅漑試験を行った. 供試品種としてAtlas 70を用いた. また, 試験地の土壌はシルト質埴壌土, Plinthic Paleustultである. 潅漑区として圃場容水量に対する不足割合 (DASM) を60, 45, 30, 15%に設定した区とpanによる積算水分蒸発量に対する潅漑水の比 (IW/CPE) を0.6, 0.9, 1.2に設定した区の7区を設け, さらに対照区として無潅漑区を設けた. 試験の結果, キャベツの総収量はDASM 30%, 15%区とIW/CPE比0.9, 1.2区で他の処理区に比べて明らかに高くなり, これらの値がキャベツ栽培における潅漑基準となりうることが分かった. 最も収量の多かったこれら4つの潅漑区におけるキャベツの総水分利用量は158.44~183.23mmであった.また, 市場価値のある収量 (602.35 kg/ha/mm) についての潅漑水利用効率は, 30%DASM区で最大となった.
著者
サハ ウタムクマール ハイ モハマドアブドゥル ハイダー ジャミル サハ ルパラニ
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.168-176, 1997

ジャガイモ (<I>Solanum tuberosum</I>L.) の栽培において, 灌漑条件と稲わらマルチの有無の影響について試験を行った.供試品種はCardinalを用い, バングラディシュのPlinthic Paleustult土壌で試験した.灌漑区は, 土壌有効水分損失 (DASM) を20, 40, 60%に設定した灌漑条件とし, さらに対照区として無灌漑区を設けた.この結果, 試験地域の土壌, 気候条件下において目標の高収量に達するためには, 灌漑したジャガイモ畑の土壌有効水分 (ASM) の損失許容限界量が20~40%であることを確認した.このASM限界量の維持には, 生育期間中, 稲わらマルチ処理区で4~5回, 無処理区で6~7回の灌漑が必要であった.これは, 稲わらマルチ処理により土壌水分が保持されるため, 生育期問中2回の灌漑を節約できたことを示している.さらに, 稲わらマルチ処理区と無処理区のジャガイモ収量に及ぼす種々の灌漑条件の平均的な影響を比較すると, 稲わらマルチ処理は収量を4t/ha以上増加させることが判明した.試験地において最も生産量の多かったジャガイモの水分総使用量は200~216mmの範囲内と見積もられ, また厚さ15cmの稲わらマルチを用いることにより土壌水分の蒸発量を最少に抑え, 総水分使用量を137~146mmまで減らすことができた.より頻繁な灌漑はASMの損失を抑えてジャガイモの水分利用効率を高めたが, これは稲わらマルチ被覆によってさらに改善された.稲わらマルチ被覆下でのより頻繁な灌漑で, 小型の塊茎の割合は減少し大型の塊茎の割合は増加するという塊茎サイズの分布傾向と収量の増加が確認された.