著者
植村 善博 シエパード マイク
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.13, pp.769-785, 2006-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

ニュージーランド北島,パーマストンノース東部の地形発達史および第四紀後期の地殻変動を明らかにする目的で海成段丘と河成段丘を調査した.その結果,トコマル段丘が海洋酸素同位体ステージ5eにあたる海成段丘であることを確定し,トコマル層の下位に位置する2層の海成層をそれぞれ海洋酸素同位体ステージの7および9の海進期堆積物に対比した.また,ステージ5以後の河成段丘であるフォレストヒル面,ミルソン面およびアッシュハースト面についてその形成年代と形成環境を明らかにした。トコマル段丘の旧汀線高度は109~147mにあり,その高度は南西へ0.3%の勾配で低下している.平均隆起速度は0.8~1.1m/kaである.また,トコマル面の縦断勾配は1.57~2.13%の勾配を持ち,北西方向に傾斜している.本地域では西北西への増傾斜運動が卓越しており,ワンガヌイ堆積盆地の沈降中心へ傾き下がる造盆地運動が支配的である.その増傾斜運動はトコマル面以降フォレストヒル面形成期までの間に比べ,フォレストヒル面形成以後に加速化した.