著者
伊藤 洋一 板垣 博 テフェラ ウオンデ
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-5, 1973
被引用文献数
1

エチオピア産<I>Biomphalaria</I>属の2種の貝にエチオピア人の患者から分離したマンソン住血吸虫ミラシジウムを実験的に感染させ, その感受性を比較した。その結果, 各地から採取した<I>B. Pfeifferi rueppellii</I>では67~100%の感染率が得られたのに比し, <I>B. sudanica</I>ではわずかに9%の感染率しか得られなかった。また両種のエチオピアにおける分布状態を調査したところ, <I>B. Pfezlfferi rueppellii</I>はエチオピア全土に亘り分布しているのに比し, <I>B. sudanica</I>は南部湖水地区の一部の湖水にしかその棲息が認められなかった。<BR>これらの結果より, エチオピアにおけるマンソン住血吸虫の主要な中間宿主は<I>B. Pfezifferi rueppellii</I>であると考えられる。