著者
川崎 弘 岩田 文男 デ メスキータ フィーリョ マノエル V.
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-87, 1984

前報の実態調査から, セラードにおけるダイズの主根伸長・肥大の不良とそれに伴う根群分布の表層化は, ダイズの根域, 特にAp<SUB>2</SUB>層の可溶性りん酸および交換性Caの不足と密接な関連があると考察した.そこで本試験では, セラード農牧研究センターの圃場において, りん酸および苦土石灰の深層施用がダイズの根群分布に及ぼす影響を究明した.その結果, りん酸および苦土石灰の深層施用によって, 根群分布の表層化は軽減され, その効果はりん酸, 苦土石灰の併用区で最も大きく, 次いでりん酸区, 苦土石灰区の順であることが明らかになった.このことからセラードにおけるダイズ根群の表層化は, 従来から言われているような土壌の酸性や交換性Alの阻害作用に起因する現象ではなく, 下層土の未改良によるりん酸とCaの欠乏が原因であると結論した.