著者
川崎 弘 岩田 文男 メスキータ フィーリョ マノエル V.
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.45-50, 1984

セラードにおける作物の根群文布は著しく浅いため, 栽培期間中不定期に発生する小乾期なよってしばしば水分不足の被害をける.従来, この浅根化は強酸性土壌に由来する交換性Alの阻害作用に婦せられ, 石灰の深層施用が推奨され, かつ実施されているが, 依然として改善されていない.本実態調査ではセラートにおける作物根分布の表層化の原因を解明するため, セラードのライソル (Ferralsols) , 肥沃なテラロシャ (Eutric Nitosols) および沖積土壤 (Dystric Fluvisols) のダイズ根群の分布を調査・比較し, セラードにおけるダイズ根群分布の特異性を明らかにしようとした.調査の結果, セラードのダイス根群はテラロシャおよび沖積土壤に比べて主根の伸長・肥大が悪く, 代って地表近くの分枝根が良く発逹し, 根群が表層に集中する特徴を示した.しかし, セラードの開墾初年月の畑では主根が深くまで伸長し, 根群も地表から比較の深層まで広い範用に分布しているのが認められた.
著者
川崎 弘 岩田 文男 デ メスキータ フィーリョ マノエル V.
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-87, 1984

前報の実態調査から, セラードにおけるダイズの主根伸長・肥大の不良とそれに伴う根群分布の表層化は, ダイズの根域, 特にAp<SUB>2</SUB>層の可溶性りん酸および交換性Caの不足と密接な関連があると考察した.そこで本試験では, セラード農牧研究センターの圃場において, りん酸および苦土石灰の深層施用がダイズの根群分布に及ぼす影響を究明した.その結果, りん酸および苦土石灰の深層施用によって, 根群分布の表層化は軽減され, その効果はりん酸, 苦土石灰の併用区で最も大きく, 次いでりん酸区, 苦土石灰区の順であることが明らかになった.このことからセラードにおけるダイズ根群の表層化は, 従来から言われているような土壌の酸性や交換性Alの阻害作用に起因する現象ではなく, 下層土の未改良によるりん酸とCaの欠乏が原因であると結論した.
著者
川崎 弘 岩田 文男 メスキータ フィーリョ マノエル V.
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.51-57, 1984

セラードのダイズ栽培において, 開墾後の経過年数の短い圃場では, 主根がよく伸長肥大し, 根群は表層だけでなく下層まで深く分布したのに対し, 開墾年次の古い圃場では主根の伸長肥大が劣り, 代って地表近くの分枝根がよく発達し, 根群が表層化する傾向が観察された.この現象を土壌要因との関連において調査した結果, セラードの土壌におけるダイズ根群分布の表層化は, 従来から言われているように土壌の酸性や交換性Alの阻害作用に起因しているのではなく, 施肥りん酸とCaが耕土層に集積して, 下層との間にこれら成分の著しい落差が生じることによって惹起されていると推論された.