著者
廣瀬 明 トー ジアユン エリス 原 貴弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.113-118, 2005-03-21

対人プラスチック地雷の除去は人類の急務であり、レーダによる探知が期待されているが、未だ難しい課題である。本報告は、これまでに著者らのグループが提案している複素自己組織かマップによって区分化され可視化された位相感受型地中レーダ画像の中で、どの領域が地雷であるかを推定する地雷同定システムを提案し、その方式と実験結果を述べる。この地雷同定システムは教師ありシステムであり、また2つの段階の連想記憶からなる。地雷の埋設状況は千差万別であり、その変化を克服して地雷を見つけ出す必要がある。このために、はじめにその土地に埋設されている地雷(あるいは模擬地雷)を実際に埋設しなおしていくつかの典型的な埋設状況を作り、これを計測することにより埋設状況を学習させる。そして第1ステージ連想記憶で埋設状況の類似のものを見つけ出し、第2ステージ連想記憶で地雷クラスを同定する。実験の結果、プラスチック地雷の同定性能がきわめて高いことが確認される。またこの方法では教師埋設例データの作成を現地で行うことができるため、探査の現場に合った適応的な探索を実現することができる。その意味でも高い実用性を有する。