著者
廣瀬 明 丁 天本
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J98-C, no.10, pp.184-192, 2015-10-01

本論文は,複素ニューラルネットワークのエレクトロニクスでの利点を,概念的な側面と具体的な例示によって議論する.本質的に複素ニューラルネットワークは波動を扱う際に有効な汎化特性をもつ.複素数の実2 × 2行列表現を見ながらこれを論じる.また具体例として,通信チャネルを一つの複素実体として捉えて移動体通信のチャネル予測に複素ニューラルネットワークを適用する場合を挙げ,その優位性と背景にある考え方を述べる.
著者
柳井 孝介 廣瀬 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.730, pp.67-72, 2003-03-11

生体神経回路では、活性化するニューロンの位置関係が刺激の意味と密接な関係を持つ。そこで、われわれは人工的な情報処理方式として、連続的な場を考えその中を情報の担体(キャリア)が移動し近傍と相互作用することによって情報処理を行う「ベクトル場マシン」を提案する。そして、特にその処理空間の位相(トポロジー)が学習や処理に対して大きな影響を与えることを示す。本報告は、ベクトル場マシンをソフトウェアとして構成し、数値実験を行った結果を示す。課題として視覚の初期処理を考え、さまざまな角度の棒線刺激が入力されたときに、物理的な角度の相似度がそのまま情報的な相似度であると考えられるような近さ・速さにあるニューロンが発火するようなマッピングの学習を進める。角度情報は周期性を有する。このため、処理を行うベクトル場が周期的なトポロジーを持つことが、有利に働くと期待される。数値実験により、そのことが確認されたことを報告する。
著者
平森 智幸 伊藤 元剛 吉川 正雄 廣瀬 明夫 小林 紘二郎
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.503-508, 2003-09-01
被引用文献数
5 6

本研究では,無電解Ni-Pめっき上にさまざまな厚さのAuめっきを施した基板にBGA対応のSn-AgはんだボールおよびSn-Ag-Cuはんだボールを接合し,リフロー後および高温放置後における界面構造の観察および接合強度の測定を行った。Sn-Ag-Cuはんだの場合,Auめっき厚が250nmと500nmの試料では界面にPリッチ層が形成されたが,Auめっき厚の薄い試料では形成されなかった。一方,Sn-Agはんだの場合,Auめっき厚によらず界面にPリッチ層が形成されていた。どちらのはんだにおいてもAuめっき厚の厚い試料では強度試験において界面で破断が生じたので,Pリッチ層の形成は界面強度の低下につながると考えられる。Sn-Ag-Cuはんだでは50nmのAuめっき厚さが最適であった。
著者
廣瀬 明夫
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.188-196, 2021-04-15 (Released:2021-07-15)
参考文献数
48
被引用文献数
2 10
著者
近藤 未希 赤田 裕亮 廣瀬 明夫 小林 紘二郎
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要 平成18年度秋季全国大会
巻号頁・発行日
pp.207, 2006 (Released:2006-11-09)

非耐熱部品の一括実装を実現するためには、実装温度100℃以下の低融点はんだの開発が必要である。本研究では、Bi-In-Sn合金に着目し、溶融特性、濡れ性、機械的特性、継手強度の観点から、低融点はんだとして適用可能な合金組成の検討を行った。
著者
川田 宗太郎 廣瀬 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.20, pp.1-6, 2004-03-01

従来の電子プロセッサは、電子回路によって処理速度が支配されており、また低周波帯域では周波数多重化のメリットも少ない。我々は、光波のコヒーレンスに着目する新しい概念の光プロセッサを提案する。光波を用いるため原理上処理速度が速く、波長多重による回路の並列化も可能である。そのプロセッサの基本素子となる周波数依存の学習論理回路の光学実験を行った。半導体レーザを用いた光学系を構築し、ある周波数でANDゲート、別の周波数でXORゲートとしての出力結果を得るように学習を行った。その結果、理論値に近い良好な出力を得た。この光プロセッサは、空間光変調器が作る微小光路差によって論理機能が実現される。これを利用した動的な機能ユニットも提案する。We propose an adaptive logic circuit whose function can be controlled by carrier frequency modulation. The circuit learns desirable functions adaptively by complex-valued Hebbian rule. After the learning, the circuit can switch its function all at once by changing the delay time at a spatial light modulator. A high mechanical stability is realized by a spatial phase-difference coding. Two-orthogonal phase components are detected in parallel spatially. An experiment demonstrates that the system works as an AND circuit at a certain frequency and as an XOR at another. We also propose a processor named "coherent optocal processor" based on the logic circuit and present its application to multiplexed adaptive functional units.
著者
廣瀬 明
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

以前にわれわれが提案したWalled LTSAはその開口面での壁面が、導波管を単純に切断したものと同等であった。そこに、次の2つの新構造を導入した。(a)開口端の方形終端形状を自由な曲線とし、特に漸近的な開口として等価的な開口面積の増大を図る。(b)金属壁に溝(トレンチ)をつけ曲線開口と滑らかにつなぐ。これらの構造によって、8-12GHzの広い帯域にわたって5dB程度以上の直接結合の低減を実現した。またアンテナのスケーリングによって、同様の構造がさまざまな周波数帯における直接結合低減に役立つことも示した。
著者
廣瀬 明 酒谷 誠一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、われわれが提案し世界をリードしている「複素ニューラルネットワーク」の理論に基づいて、対人プラスチック地雷を適応的に可視化するレーダシステムを構築することを目的として進められた。このレーダシステムは、人間の脳に似た機能を持ち、しかし一歩進んで、人間が持たない複素振幅情報を適応的に扱う能力を持ったニューラルネットワークを核としている。その結果、これまで事実上不可能であった浅く(0〜3cm)埋設されたプラスチック地雷の可視化に成功した。現在は次段階の研究であるフィールド試験(地雷原に似た状況での模擬地雷可視化)の計画を進めている。構築・開発に成功したこのシステムは、次の3つの部分から成る。(1)高空間密度・広帯域の集積アンテナによるハンドセット 新たなアンテナ・エレメントすなわちWalled-LTSA(walled linearly-tapered slot antenna)を提案・設計した。このアンテナ・エレメントは、小さい開口面積を持つため高密度に2次元的に集積化が可能であり、また広帯域を有しているため周波数掃引に好適である。この集積アンテナによって連続電磁波を放射し、また地中からの反射波を位相感受方受信機で2次元的に受信する。そして、その周波数を掃引することによって、空間および周波数空間の3次元空間での複素振幅データを得ることを可能にした。(2)複素画像を適応的に区分する複素自己組織化マップ(Complex-valued self-organization map : CSOM)モジュール また、得られたデータの複素3次元テクスチャを適応的に区分するCSOM適応クラス分けモジュールを開発した。反射波は2次元×周波数の3次元のテクスチャ情報を持っている。CSOMモジュールは、この複素テクスチャに基づき画素を適応的に分類し、画像を区分する。その結果、プラスチック地雷領域を他の土石領域や金属片を含む領域などと分離して、別のクラスに分類することに成功した。(3)地雷クラスを同定する複素連想記憶モジュール さらにCSOMによって分類されたクラスのうち、どのクラスがプラスチック地雷であるか、同定する必要がある。われわれは、これを2段階の複素連想記憶を提案・構築するによって実現に成功した。まず計測取得画像に含まれる特徴ベクトル(クラスを表現している)のセットに対して、それに近い特徴ベクトル・セットを有する教師画像を連想記憶的に探索する。次に、最も近かった教師画像の特徴ベクトルのうち、プラスチック地雷のクラスに相当する計測結果クラスを複素連想記憶で探索する。この2段階探索によって、効果的にプラスチック地雷クラスを同定することができた。
著者
廣瀬 明 トー ジアユン エリス 原 貴弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.113-118, 2005-03-21

対人プラスチック地雷の除去は人類の急務であり、レーダによる探知が期待されているが、未だ難しい課題である。本報告は、これまでに著者らのグループが提案している複素自己組織かマップによって区分化され可視化された位相感受型地中レーダ画像の中で、どの領域が地雷であるかを推定する地雷同定システムを提案し、その方式と実験結果を述べる。この地雷同定システムは教師ありシステムであり、また2つの段階の連想記憶からなる。地雷の埋設状況は千差万別であり、その変化を克服して地雷を見つけ出す必要がある。このために、はじめにその土地に埋設されている地雷(あるいは模擬地雷)を実際に埋設しなおしていくつかの典型的な埋設状況を作り、これを計測することにより埋設状況を学習させる。そして第1ステージ連想記憶で埋設状況の類似のものを見つけ出し、第2ステージ連想記憶で地雷クラスを同定する。実験の結果、プラスチック地雷の同定性能がきわめて高いことが確認される。またこの方法では教師埋設例データの作成を現地で行うことができるため、探査の現場に合った適応的な探索を実現することができる。その意味でも高い実用性を有する。
著者
原 貴弘 廣瀬 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.119-124, 2005-03-21

本報告では, 干渉型レーダを用いて複数の周波数で測定された地中レーダイメージに基づくプラスチック地雷探知システムについて述べる.本システムでは, 干渉型レーダで広い周波数での観測を行うことにより, 高い空間分解能を実現する.また, 干渉型レーダによって, 取得された同相成分, 直交成分を複素振幅として解釈し, それを複素自己組織化マップを用いて適応的に区分化する.この区分化によって, 地中に埋設されたプラスチック地雷が適切に区分化されることを示す.また, レーダ画像データの実空間および周波数領域でのピクセル値相関値のばらつきに着目した特徴ベクトルを提案し, より高速かつ良好な区分化が行えることも示す.