著者
林 雅子 Hayashi Masako ハヤシ マサコ
出版者
大阪大学大学院文学研究科日本語学講座
雑誌
阪大日本語研究 (ISSN:09162135)
巻号頁・発行日
no.20, pp.33-59, 2008-02

現代日本語の「動詞テ形由来の副詞的成分」について、形態・意味・統語の三つの特徴に基づいてその「副詞度」を算出し、その連続相を多次元的に把握することを試みた。その結果、副詞度と副詞の種類との間には、以下のような相関が見出された。「陳述」と「時・頻度」の副詞度が最も大きく、次いで、「意志態度」「程度」「接続」がこの順で続き、「主体の心理」「主体の様子」「複数主体の様子」(「状態修飾成分」)の副詞度は小さい。また、「陳述」「時・頻度」「程度」「接続」は、これらを副詞と見なす研究者が多く、辞書で副詞として認定されるものが多いのに比べて、主体の心理・様子を表わす「状態修飾成分」は、これらを副詞とは見なさい研究者も多く、辞書でも副詞として認定されにくい、という傾向を得た。これらの結果は、「副詞度」の大きさと、「各研究者の副詞認識」「辞書編纂者の副詞認識」とが、一定の相関関係にあることを示している。