- 著者
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一瀬 麻紀
岡田 保誠
稲川 博司
小島 直樹
山口 和将
佐々木 庸郎
有野 聡
杉田 学
- 出版者
- 一般社団法人 日本集中治療医学会
- 雑誌
- 日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.2, pp.99-103, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)
- 参考文献数
- 10
酸化マグネシウム(MgO)は下剤として頻用されており,多くの症例で安全に使用されているが,稀に高マグネシウム(Mg)血症を生じることがある。症例は60歳,男性。統合失調症で抗精神病薬とMgO 2 g/dayを内服していたが,来院13日前から排便がなかった。来院当日,排便後に昏睡・低血圧となり当院へ搬送された。各種検査では血清Mg値20.2 mg/dLであり高Mg血症による意識障害,循環不全と診断した。カルシウム製剤の持続投与と血液透析を行い血清Mg濃度は低下し,症状は改善した。抗精神病薬投与中は,抗コリン作用の腸管蠕動低下に伴うMg製剤の腸管内停滞によりMgの吸収率が高まり,高Mg血症をきたすことがある。抗精神病薬を服用中の患者では,たとえ常用量のMg製剤の内服でも,注意深い臨床症状の経過観察および血清Mg濃度のモニタリングが必要であると考えられた。