著者
三井 直樹
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.11-18, 1999-11-30 (Released:2017-07-21)
参考文献数
43

本論文では印象派絵画とフラクタル幾何学との関わりを検証し, 印象派絵画のフラクタル性を明らかにしたい。印象派の画家たちは戸外での自然観察による制作をするようになり, それに伴い, 「筆触分割」と「視覚混合」という新しい手法を使い20世紀美術に革新をもたらした。また, 生き生きとした自然を再現するために日本美術に見られる大胆な構図の切り取り, 俯瞰構図などを積極的に取り入れた。フラクタル幾何学は従来のユークリッド幾何学では定量化することのできない様々な自然の形を扱うことができることが知られている。フラクタル幾何学では自己相似性がその重要な概念となっているが, 自然の形体や色, 自然光が再現された印象派絵画もこのフラクタルの特性を持ち合わせているはずである。本稿ではフラクタル幾何学を, 美的価値をはかる一つの客観的なバロメータとして捉え, 印象派絵画に表現された様々な造形要素を検証し, 具体的な作品の事例を通して新しい解釈を試みる。
著者
三井 直樹 Naoki Mitsui
出版者
共立女子短期大学生活科学科
雑誌
共立女子短期大学生活科学科紀要 (ISSN:09172300)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-9, 2013-02

アレキサンドラ・モンローをゲストキュレーターに迎え、 1994年に開催された展覧会「Japanese Aat after 1945 :Scream against the Sky」 展は、アメリカを巡回する初の大規模な日本の戦後前衛美術展となった。現在のアメリカにおける日本の現代文化全体に対する見方は、この展覧会による影響が大きい。この展覧会の中心として取り上げられた「具体美術協会」は、吉原治良を中心に嶋本昭三、白髪一雄、村上三郎、金山明、田中敦子、元永定正らによる前衛美術集団であった。 本論では「具体美術協会」がパフォーマンスアートやハプニング、インスタレーションなど現代美術のさまざまな分野の先駆者として認められる点を検証しながら、さまざまな欧米美術家との関わりを探り、また、 日本の現代美術の源流がどこにあるかを検証する。戦後日本の作家たちは、西欧に対していかに「日本」あるいは「東洋」を確立するかが、自らの存在に関わる根底的な問題であった。「具体美術協会」の作品を考察することによって、 「日本」というアイデンティティの模索の歴史を再確認していく。
著者
三井 直樹 Naoki Mitsui
雑誌
共立女子短期大学生活科学科紀要
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-9, 2013-02

アレキサンドラ・モンローをゲストキュレーターに迎え、 1994年に開催された展覧会「Japanese Aat after 1945 :Scream against the Sky」 展は、アメリカを巡回する初の大規模な日本の戦後前衛美術展となった。現在のアメリカにおける日本の現代文化全体に対する見方は、この展覧会による影響が大きい。この展覧会の中心として取り上げられた「具体美術協会」は、吉原治良を中心に嶋本昭三、白髪一雄、村上三郎、金山明、田中敦子、元永定正らによる前衛美術集団であった。 本論では「具体美術協会」がパフォーマンスアートやハプニング、インスタレーションなど現代美術のさまざまな分野の先駆者として認められる点を検証しながら、さまざまな欧米美術家との関わりを探り、また、 日本の現代美術の源流がどこにあるかを検証する。戦後日本の作家たちは、西欧に対していかに「日本」あるいは「東洋」を確立するかが、自らの存在に関わる根底的な問題であった。「具体美術協会」の作品を考察することによって、 「日本」というアイデンティティの模索の歴史を再確認していく。