著者
三井 相和 藤吉 弘亘 秋田 時彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.1135-1144, 2011-07-01

本論文では,textonに用いられるフィルタをボックスフィルタ(平均化フィルタ)の組合せで近似した,近似texton特徴量による高速な人検出法を提案する.textonによる特徴抽出は処理が容易であることから,テクスチャ解析やパターン認識,一般物体認識など多岐の分野で多く用いられる.しかし,単純なフィルタリング処理では,フィルタ内の1ピクセルごとにアクセスし演算しなければならないため,特徴抽出の処理コストが非常に高い.そこで,本論文では特徴抽出の処理コストを削減するために,textonに用いられるフィルタを近似することで高速な人検出を実現する.textonの近似には処理が簡易なボックスフィルタを用いる.このボックスフィルタをピラミッド上に組み合わせることで,擬似的にtextonのフィルタの形状を構築する.また,ボックスフィルタの応答値の算出には,方形領域の画素値の合計を一括算出することが可能なIntegral Imageを用いる.これらを組み合わせることで,近似フィルタの応答値を高速に求めることが可能となる.評価実験より,提案手法は人検出の特徴量として有効であるHistograms of Oriented Gradients(HOG特徴量)と同精度であり,2.3倍高速な識別が可能であることを確認した.
著者
三井 相和 山内 悠嗣 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.9, pp.1591-1601, 2009-09-01

本論文では,複数のHistograms of Oriented Gradients(HOG)特徴量を2段階に構築したBoostingにより組み合わせたJoint特徴量による特定対象(例えば人や車両)の物体検出法を提案する.近年,統計的学習手法と局所領域より得られるlow-level特徴量を組み合わせた物体検出法に関する研究が多く取り組まれている.本手法では,複数のlow-level特徴量であるHOG特徴量をReal AdaBoostにより組み合わせることでJoint特徴量を自動生成する.Joint特徴量は,複数のセル間のHOG特徴量の共起を表現し,1段階目のReal AdaBoostにより組み合わせる.このため,単一のHOG特徴量のみではとらえることのできない物体の対称的な形状や連続的なエッジをとらえることが可能となる.次に,生成されたJoint特徴量のプールを入力とした2段階目のReal AdaBoostによって最終識別器を構築する.これにより,識別に有効なJoint特徴量のみを選択するため,高精度な検出が可能となる.本論文では,提案手法の有効性を確認するために,検出対象を人と車両として,評価実験により提案手法の有効性を示す.また,提案手法ではHOG特徴量同士のみでなく異なるlow-level特徴量間での組合せも可能である.本論文では,歩行者のアピアランスを表すHOG特徴量と,動きを表す時空間特徴であるPSA特徴量との共起を表現することで,効果的な識別器を構築することが可能となることを示す.