著者
黒石 陽子 三好 修一郎 加藤 康子 山下 則子 有働 裕 山下 琢己
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本年度は黒本・青本『曽我武田鞘因縁』(研究代表者 黒石陽子)、黒本『頼光一代記』(研究分担者 加藤康子)について諸本調査、書誌調査、翻刻、内容分析を行い、『叢 草双紙の翻刻と研究27号』に発表した。『曽我竹田鞘因縁』は、『曽我物語』に代表される曽我の伝承が、江戸期にどのような展開を示したのかを明らかにする上で重要な資料である。中世以降、江戸における諸分野の文学や芸能との関係から調査、考察を行った。『頼光一代記』も酒呑童子の伝承と関係し、江戸期に広汎に浸透した伝承が、黒本ではどのように扱われているのかを明らかにしたものである。江戸末期から明治にかけての展開も視野に入れて研究した。また研究協力者は以下の作品を担当し、『叢 草双紙の翻刻と研究27号』に発表した。『和漢/軍配木起源』(丹 和浩)、青本『〔大江山〕』(金ヒョンジョン)、『風流/桃太郎/柿太郎 勇力競』(徳永結美)、黒本・青本『保名丸白狐玉』(書誌的記録の追加・語釈・考察)(ジョナサン・ミルズ)、『〔男鳴神〕』(朴順花)、『昔扇金平骨』(橋本智子)、『昔咄し虚言桃太郎』(笹本まり子)、『縦筒放 唐の噺』(大橋里沙)、黄表紙『嶋台眼正月』(杉本紀子)、合巻『瑠璃紫江戸朝顔』(桧山裕子)。これらについても諸本調査、書誌調査、翻刻、内容分析を行った。さらに平成14年よりデータベースとしての構築をめざし、研究代表者、研究分担者、研究協力者によって継続して作成してきた赤本・黒本・青本の解題原稿を、科学研究費報告書として1冊にまとめた。またこの成果を元に書店からの刊行準備を開始した。18年度中には刊行し、一般に公開できる見通しをつけることができた。