著者
鈴木 猛
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

CHILDESについて学生協力者と勉強し、データベース検索作業の準備をし、予定より早く検索作業に入った。up/down/out/on/offなどの前置詞・パーティクルを検索し、該当する発話を列挙している。さらに、日本英語学会において招聘発表の機会があったので、Tomasello (1992): First Verbs のデータを元にして発表を行った。内容は概略次の通り。英語では経路を表すパーティクルの習得が早く、特に、動詞の助けなく意味上の主語を取る、すなわち、述語として習得されていることに着目し、それが後の文法形成に影響し、二次述語として発達することを示した。この考え方を用いて、英語における(i)lexical subordinationと(ii)経路概念のsatellite-framingというよく知られた特徴が文法習得の過程から自然に導かれる可能性について論じた。すなわち、(i)については、もともと単独の述語であるパーティクルが、動詞が挿入されてからも述語性を保っている結果lexical subordinationが生じる。(ii)についても同様に、経路を表す主要要素であるパーティクル=satelliteが最初期から習得され、それに動詞が足されていくので、経路はそのままパーティクルが表す。文法習得に継続性を認め、理由がない限り前段階の文法の特性が受け継がれ成長するという自然な仮定のもと、英語において(i, ii)は自然に得られる帰結であると考えられる。本発表の成果は、動詞側から見直せば、英語における同文脈での動詞の意味的弱さへと結びついてくるのは必然である。