著者
取井 猛流 木下 菜月 浦野 諒人 三好 大輔 川内 敬子
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.25-35, 2022 (Released:2022-01-10)
参考文献数
68

分子生物学の研究が飛躍的に進歩し、分子標的薬の開発や治癒が困難であった様々な疾患に対する治療法が確立されてきた。一方で、標的タンパク質を同定できたとしてもタンパク質の構造上の特徴などから、標的とすることが難しいケースも依然として多い。そこで注目されているのが核酸を狙った分子標的薬である。特に、核酸の代表的非標準構造であるグアニン四重らせん構造(G-quadruplex: G4)を標的とした薬剤の探索が進められ、新たながん治療法への応用が期待されている。本総説では、G4が標的分子として注目されている理由、そして光増感能を持つG4リガンドのがん光線力学療法への応用について我々の研究を中心に紹介する。
著者
杉本 直己 川上 純司 中野 修一 三好 大輔
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

分子クラウディングのモデル実験系を構築することで、細胞で行われる相互作用や化学反応の橋渡しとなる定量データを取得し、核酸の構造と機能に対する分子環境効果を化学的に解明する試みを行った。こうして得られたデータに基づいて、分子環境効果を利用した機能性核酸の開発とその機能解析を行い、細胞反応を理解するための新規実験系や、細胞内部のような特殊環境で機能する種々の核酸マテリアルを開発することに成功した。
著者
三好 大輔
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

遺伝情報を保持していないRNA(非コードリボ核酸)は、高次構造を形成して機能を発現する。これと同様に、遺伝情報をコードしていないDNA(非コードデオキシリボ核酸)の高次構造も、遺伝子の発現制御などに関与している可能性がある。そこで本研究では、非コードデオキシリボ核酸の高次構造とその熱力学的安定性を定量的に検討した。その結果、代表的な非コードデオキシリボ核酸である、グアニンに富んだDNA鎖の形成する高次構造は、細胞内環境因子によって劇的に変化するのに対し、同様の配列をもつRNA鎖の構造は、細胞内環境因子によらず単様で高い熱安定性をもつことが示された。