著者
岡田 和樹 山口 泰彦 小松 孝雪 松樹 隆光 後藤田 章人 三好 貴之
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.107-115, 2005-02-28

本研究では, マイオモニター^[○!R]に温罨法同様の咀嚼筋血流改善効果があるか否かを明らかにすることを目的に, 温罨法およびマイオモニター施行前後の咬筋組織内ヘモグロビン量, 酸素飽和度(StO_2)の変動を測定し, 比較検討した.被験者は顎口腔系に異常が認められない健常者で, 温罨法群10名, マイオモニター群10名とした.ヘモグロビン量とStO_2の測定には近赤外分光血流計を用いた.測定項目は総ヘモグロビン量(THb), オキシヘモグロビン量(OXHb), デオキシヘモグロビン量(deOXHb), 酸素飽和度(StO_2)とし, 同時に脈拍(HR)も測定した.温罨法群では, 温め後THb, OXHb, StO_2に有意な増加が認められたのに対し, マイオモニター群ではTHb, OXHb, deOXHb, StO_2, HRすべてにおいてマイオモニター後に有意な増加は認められなかった.また, 温罨法群とマイオモニター群の群間比較でも, 温罨法群のTHb, OXHb, StO_2が, マイオモニター群よりも有意に大きな増加率を示した.一方, deOXHbとHRに有意差は認められなかった.以上から, 咬筋の血流改善の効果に関しては, マイオモニターより温罨法の方が有効であると考えられた.