著者
三宅 健介 柴田 琢磨
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

我々は、EpithelialMembraneProtein3のトランスジェニックマウス(Emp3Tg)の作製および解析を行い、同マウスが自然発症性に拡張型心筋症様の病態を呈することを見出した。全身性にEmp3およびCre遺伝子を発現するEmp3Tg/CAG-Cre(n=11)は23週齢までに100%が死亡し、その多くが拡張型心筋症様の症状を呈した。しかし、Emp3TgマウスからCAG-Cre遺伝子を除くことで拡張型心筋症は発症しなくなるという予想外の結果となった。CAG-Creマウス自体にはDCM様症状は全く認められないことから、Cre遺伝子の強制発現により誘導される何らかの異常をEmp3が増長すると考えられる。今後、CAG-Creマウスで誘導されると予測されるERストレスなどにおけるEmp3の役割の解明が求められる。