- 著者
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三宅 正浩
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2009
日本近世の幕府(将軍)と藩(大名)による政治秩序の形成・展開過程を解明するという研究課題に基づき、本年度は、昨年度に引き続いて研究に利用する史料の収集を行うと共に、これまでの研究成果をまとめて日本史研究会大会において口頭報告し、後にその内容を活字化して発表した。まず、近世政治史に関わる史料等を購入して分析を進めた。平成22年5月及び7月に高知県高知市の土佐山内家宝物資料館において史料調査・撮影を行い、平成22年5月・8月・11月には東京都文京区の東京大学史料編纂所において史料調査を行った。土佐山内家宝物資料館では、山内家文書を閲覧し、近世前期の藩主書状を中心に構成されている史料である「長帳」を撮影した。東京大学史料編纂所では、広島藩浅野家の編纂史料である「済美録」をはじめとした諸大名家関係史料を閲覧した。また、昨年度に収集した各史料の記事検索・分析作業を継続して進めると共に、近世政治秩序に関わる研究史のまとめを行うため、重要な先行研究を収集して評価し、整理した。昨年度から今年度にかけての研究成果を集大成したものとして報告した「幕藩政治秩序の成立-大名家からみた家光政権-」(2010年度日本史研究会大会共同研究報告)では、近世大名家が持つ固有(個別)性と共通(普遍)性を連関させて理解することを目的として、共通性の形成過程を考察した。事例としては、主に西国の外様国持大名を取り上げ、大名家の視点から徳川家光政権期の歴史的位置を描き出した。以上のような研究により、「日本近世政治秩序の形成と展開」を研究課題とする本研究は、一定の達成をみたと考えている