著者
大泉 洋路 佐藤 俊治 三宅 章吾 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.732, pp.117-122, 2004-03-10
被引用文献数
1

多義図形に対する図地反転知覚は,観察者の注意位置や範囲に依存して図地が反転し,この注意もまた,提示される図形に依存して変化する.本稿では,図地知覚と注意の動的な情報処理過程を説明する神経回路モデルを提案する.提案モデルは,(i)提示された図形中の輪郭情報から領域間の図地関係を決定する機構,及び(ii)視覚的注意の影響を(i)に与える機構から構成される.これら2つの機構は,図地知覚および注意の状態に応じて相互に影響し合う.数値実験により,図地反転図形を入力とした場合,提案モデルが図地反転現象を再現できること,また様々な条件下で我々の知覚と定性的に一致することを確認した.
著者
佐々木 亮 三宅 章吾 佐藤 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.734, pp.85-90, 2004-03-12

本研究では報酬系からのワーキングメモリ一機構に対する制御に着目し,ワーキングメモリーモデルの数理モデル化を行った.ワーキングメモリーを構成する機構として,情報の選択機構,保持機構,消去機構,操作機構を考え,これらの機構に対する制御を,報酬予測が可能なTemporal Difference (TD)モデルを用いて定式化した.ワーキングメモリー課題である遅延反応課題とGo-Nogo課題に対する数値実験を行った.その結果,ワーキングメモリー機能を実現するためには,報酬の他に様々な情報の予測が重要である事が示された.
著者
伊藤 真 三宅 章吾 猪苗代 盛 黒岩 丈介 沢田 康次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.126, pp.25-32, 2000-06-15
被引用文献数
1

エピソード記憶は一時的に海馬に蓄えられ, その後、新皮質上に長期的に固定されると考えられている.エピソード記憶は脳内において時系列パターンとして表現されている可能性があるが, 時系列パターンとしてのエピソード記憶の長期記憶形成を説明するモデルは提案されていない.本稿において解剖学生理学的知見に基づいた, 海馬連合野モデルを提案する.本モデルの特徴は(i)連合野, 海馬CA3に時間遅れを考慮したHebb則を用いることにより, 時系列パターンの学習を可能にした点, (ii)歯状回に符号化, 海馬CA1に復合化の機能を持たせた点である.数値シミュレーションにより, 本モデルは時系列パターンの長期記憶形成が可能であることが示された.
著者
宍戸 英明 三宅 章吾 佐藤 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.734, pp.91-96, 2004-03-12

近年の生理学的知見により,アセチルコリンが長期記憶の形成に重要な役割を果たしている事が示唆されている.アセチルコリンには海馬の情報伝達の制御やθリズムの生成,睡眠・覚醒のリズムの生成等の働きがあり,これらの働きによって長期記憶が形成されると考えられる.そこで本稿では,アセチルコリンの働きとそれに伴うθリズム及び睡眠の効果を全て取り入れた海馬-新皮質モデルを提案し,長期記憶の形成過程を数値実験を用いて検証した.その結果,長期記憶形成におけるアセチルコリンとθリズムの役割を明らかにした.