著者
遠藤 千恵 三宅 進
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.442-444, 2001-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

痙攣頻発治療のため静注したphenytoinにより血栓性静脈炎を伴った重篤なpurple glove syndrome (PGS) を生じた1例について報告した.本症例ではphenytoinによる広範な血管内皮細胞障害に加え, 赤血球増多, 肥満といった血流をうっ滞させる因子が加わり病変の一部に血栓性静脈炎が生じ, より重篤となったと考えられた.
著者
三宅 進 宮村 能子
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.239-241, 2012-12-03 (Released:2013-01-04)
参考文献数
5

We herein report a case of bilateral frontal horn cysts. The infant was delivered with a low birth weight (1,710g) at 31 weeks, 0 days by emergency Cesarean section. She was severely asphyxiated and exhibited respiratory distress syndrome. Surfactant was administered, and mechanical ventilation was required until 21 days of age. Brain computed tomography (CT) at 45 days of age revealed bilateral cysts adjacent to the frontal horns of the lateral ventricles. Her growth and development were normal. At 1 and a half- years of age, she underwent brain CT again and the above-mentioned cystic abnormality had disappeared. No dilatation or irregularity of the lateral ventricles was found. Normal development and transient abnormal cystic findings in brain CT suggested a diagnosis of frontal horn cysts. Frontal horn cysts should be considered as the causes of cystic lesions of the brain.
著者
本間 由佳子 石原 金由 三宅 進
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.35-43, 1992-06-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究はヒトの活動の概日リズムを朝型-夜型において比較した.朝型13名, 夜型14名の女子大学生を対象とし, ACTIGRAPHによって連続5-7日間の活動数が計測され, 同時に被験者によって睡眠表に就床・起床時刻も記録された.就床・起床時刻の判定は睡眠表と活動計から行われた.その結果, 睡眠時間を除いて就床・起床時刻に朝型-夜型で有意差が認められた.活動数においては, 総活動数, 日中の活動数, 夜間睡眠中の活動数, 起床時刻からの活動数の変動において差は認められなかった.しかしながら時刻に伴う活動数の変動において両型を比較すると, 早朝では朝型の方が, 深夜では夜型の方が活動数が有意に多かった.またコサイナ分析の結果において, 朝型の活動数の頂点位相は夜型より1時間前進していた.これらの結果から朝型-夜型の活動数の違いは就床・起床時刻の違いだけでなく, 睡眠習慣の不規則性を反映していることが示唆された.さらにこれらのデータを平日と休日に分けて再分析した結果, 休日では朝型一夜型で起床時刻のみに有意差が認められ, 平日では朝型-夜型の起床時刻, 活動数の違いに加え, それらの分散にも差が認められた.また平日と休日において夜型では起床後30分間の活動数に差は認められなかったが, 朝型では休日の活動数が平日より多かった.
著者
三宅 進
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-42, 1967-03-31

1.精薄児への単純条件反射実験を行ない、興奮性と制止性の両極性の存在を考究することを目的とする。2.実験群17名、対照群13名からなり、実験群の平均IQは51である。3.手続としては、GSRによる単純陽性条件反射でCSは25psの光刺激、UCSは、500psの強音により、15回の強化試行が行なわれ、その間3回のテスト試行が挿入される。そして実験手順として、順応期、無条件刺激強度判定期、再順応期、強化期、消去期の5期を踏む。4.結果は反応波型、順応過程の定位反射、条件反射形成の成績、消去回数からみられた。5.反応波型の特性は何もうかがえない。6.順応過程の定位反射は傾向としては普通児の方が消失しにくかったが、統計的に有意差はない。7.条件反射形成の成績は先ずテスト試行における反応生起者率でみると精薄児より、普通児の方がより成績が良く、条件反射が形成せられ易いと思える。また、消去期の5回以上消去生起者率も普通児に高い成績がみられた。一方、反応量(テスト試行での)は、精薄児に高く、条件反射形成様相としては、かなりよい過程をたどっているといえる。8.論議は(1)精薄児の条件反射特性と(2)知能と極性についてなされた。(1)反応生起者率、消去生起者率が普通児に高く、テスト期の反応量様相が精薄児にすぐれているという矛盾は興奮一制止の両極性にかたよる三つの分布を想定させる。すなわち、条件反射を形成しえない興奮一制止の両極性により接近した二つの分布と条件反射を形成しうる興奮の極性に近い分布とがある。また、反応量の点から、両群の条件反射様相が論及された。(2)両極性にまたがる三つの分布の要因として、IQからの検討がなされたが、皮質病態が非常に深い場合は別として、とくに関係がないといえる。9.将来の問題としては、"神経の型"への探求がのぞまれるところである。