著者
三富 文和 藤原 冬樹 山本 正信 佐藤 泰介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J88-D2, no.4, pp.716-726, 2005-04-01

本論文は,習慣的な行動を確率文脈自由文法(SCFG)で認識するための新しい手法を 提案する.習慣的な行動でその動作が文法化されている例として茶道を取り上げ,その点前の識別を目標とする.これまで,SCFGによる動作認識では,動作を画像から記 号列に変換し,記号列を構文解析し認識に至っていた.この記号化は不確定さを伴う ため,構文解析には記号化の誤りを修正する機能が必要であった.本論文では,記号 化の誤りを少なくするために,まず,動作を角加速度に基づきセグメンテーションす る.動作セグメント列に対応可能な基本動作列を発生させ,その中から構文解析により導出可能なものを残す.このとき,対応可能な基本動作列の数は,動作セグメンテーションの誤りが少ないため多くはならない.認識過程では,残された基本動作列に対し,最も大きな事後確率をもつ点前を認識結果とする.これは,ベイズ推定の意味で誤りの最も少ない認識結果となり,同時に最適な記号化が得られる.なお,SCFGの生成確率を多重化することにより,一つの文法で複数の点前を認識できるようにしている.