著者
今西 英雄 稲本 勝彦 三島 睦夫 小池 安比古 土井 元章
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

系統の異なるユリりん茎を用い、-1.5〜-2.0℃の氷温下で長期貯蔵した場合の貯蔵可能期間を調べるとともに、温度降下処理を行い処理後のりん茎の生存率を調べてりん茎の50%生存可能な品温(LT50値)を求め、系統間の長期氷温貯蔵に対する耐性を評価した。その結果、氷温貯蔵期間が長くなるにつれて、テッポウユリ、オリエンタル系、アジアティック系の品種ではLT50値が高くなり氷温に対する耐性が次第に低くなること、LA系の品種ではほぼ一定で耐性が変わらないことを明らかにし、系統間の氷温貯蔵耐性の差異を確かめた。オリエンタル系とLA系のりん茎を-1.5℃と-2.0℃の異なる温度で異なる期間貯蔵後に栽培したところ、氷温財蔵耐性の低いオリエンタル系の品種では両温度ともに、4か月の貯蔵では正常に生育するが、7か月以上貯蔵すると採花時の花や葉に障害が発生し切花品質が低下するため、生存はしているものの使用できなくなるが、耐性の高いLA系では11か月貯蔵しても正常に生育することを確認した。低温による氷温下での貯蔵耐性の付与については、1℃4〜8週間の予冷により、りん片および茎の糖濃度が直まり、氷温で長期貯蔵後の栽培においても切花品質が高いこと、12℃8週間に続いて1℃8週間の予冷を組み合わせると、さらに切花品質が高まること、一方1℃の予冷期間が12週以上と長くなると茎が伸長を始め糖度が低下し、貯蔵中に死に至るりん茎が増加することを明らかにした。CA貯蔵の効果については、-1.5℃の氷温帯で、酸素濃度を2〜3%に維持したCA環境で貯蔵してきた場合、アジアティック系でのみ、開花率が高くなり、切花品質が向上するという結果を得たが、オリエンタル系ではかえって開花率、切花品質の低下がみられ、所期の効果を得ることができなかった。