著者
今西 弘子 生尾 昌子 稲本 勝彦 土井 元章 今西 英雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-74, 2002 (Released:2007-11-30)
参考文献数
10
被引用文献数
5 9

オフィスにおけるインテリアグリーンがそこに働く人々に与える心理的効果を中心に,インテリアグリーンの効果的な使用法を探る目的で,アンケート調査が行われた.その結果,オフィス内にかなりの量の観葉植物があることが望まれ,それが仕事の上にもよい影響を及ぼすと感じられていること,観葉植物としてアートプランツの使用も容認されること,観葉植物に比べ花はより好感をもって受け入れられることが明らかになった.
著者
松原 健一/稲本 勝彦/土井 元章/今西 英雄
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科学術報告 (ISSN:13461575)
巻号頁・発行日
no.55, pp.37-41, 2003-03-31

我が国の気候条件下において造園材料として利用することを想定し, 10種類の球根植物について耐寒性の評価を行った。球根を1999年10月上旬にポットに定植し, 同年12月6日から2000年3月10日まで, 人口気象室内で大阪府堺市におけるなりゆきの気温(±0℃区), ならびにそれより5℃高温(+5℃区)あるいは低温(-5℃区)で推移する気象をシミュレートした温度下に置いた。なお, -5℃区の植物は2000年1月12日に和歌山県伊都郡高野町富貴(標高約500m)へ移動させた。 リアトリスは低温による生育開花への有意な影響がみられなかった。アガパンサス, バビアナ, カンナ, フリージア, オキザリスは-5℃区で全個体が枯死した。低温下での葉数や葉長の減少(アガパンサス, ラッキョウ, バビアナ, フリージア, ムスカリ, ニホンスイセン), 不開花(ニホンスイセン)や開花の遅延(フリージア, ムスカリ, ニホンスイセン)が認められた。得られた結果から, 球根植物の耐寒性と原産地の気候との関係, ランドスケーピング材料としての利用適性について考察した。
著者
稲本 勝彦 木下 貴文 山崎 博子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.243-251, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では,ガーベラ(Gerbera jamesonii Bol. ex Adlam.)の地表面に形成され,頂端分裂組織を含む短縮茎(「クラウン」と呼ぶ)部の局所的な加温は花茎発生と伸長を促進することを示した.当年夏季新植株を用いて冬季2回(実験1:品種‘バナナ’および‘キムシー’;実験2:品種‘キムシー’),温水チューブならびにステンレステープヒーターを用いたクラウン部局所加温を行って栽培した.局所加温により,切り花収穫時期が早まり,総切り花収穫本数および切り花長40 cm以上の収穫本数が増加した.局所加温の効果はクラウン部の平均温度が高く保たれた区で大きく室温を低く設定すると明確であった.株当たりの切り花重は無局所加温区と比較して局所加温諸区で増加あるいは有意差がなかった一方で,切り花1本当たりの切り花重,頭花径は無局所加温区と比較して局所加温諸区で小さくなる傾向にあった.ガーベラに対するクラウン部局所加温技術は,暖房コストの低減や収穫時期の調整技術に活用が期待される.
著者
今西 弘子 生尾 昌子 稲本 勝彦 土井 元章 今西 英雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-74, 2002-04-01
参考文献数
10
被引用文献数
12 9

オフィスにおけるインテリアグリーンがそこに働く人々に与える心理的効果を中心に,インテリアグリーンの効果的な使用法を探る目的で,アンケート調査が行われた.その結果,オフィス内にかなりの量の観葉植物があることが望まれ,それが仕事の上にもよい影響を及ぼすと感じられていること,観葉植物としてアートプランツの使用も容認されること,観葉植物に比べ花はより好感をもって受け入れられることが明らかになった.<br>
著者
土井 元章 陳 忠英 斉藤 香里 住友 恵美 稲本 勝彦 今西 英雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.160-167, 1999-01-15
参考文献数
15
被引用文献数
4 1

アルストロメリアの地中冷却栽培における秋季収量および切り花品質の向上を図ることを目的として, 温度処理および地温制御法について検討した.1. 冬季最低10℃で育苗して自然の低温に引き続いて地中冷却(夜間14℃に設定)を施す場合, 'レジナ'では5月21日, 'カルメン'('カナ')では6月20日までに冷却ベッドに植え付けると, 開花シュートの発生が継続した.この地中冷却ベッドへの植付け限界は, それぞれの品種の開花に有効な低温('レジナ'15℃以下, 'カルメン'17℃以下)が出現しなくなる時期とほぼ一致した.ただし, この方法では秋季に切り花は得られたものの, 初秋の収量および切り花品質が劣っていた.2. 'レジナ'に2℃10週間の低温を処理し6月10日に14℃を目標に冷却したベッドに植付けると, 秋季に採花することができた.この際, 最低20℃で育苗してきた苗を用いると, 最低10℃で育苗してきた苗を用いた場合に比べて, 植付け後栄養シュートの発生が多く, 初秋の収量が増加して切り花品質が向上した.3. 'カルメン'に対して, 冷却液の循環時間を夜間に制限して17℃以下の経過時間が1日6時間となるように地温制御を行うと, 連続冷却した場合に比べて, 栄養シュートの発生が促され, 秋季の切り花品質が向上した.4. 'カルメン'の据え置き株に対して, 6月12日からの地中冷却に先立つ8&acd;20週間を地温20℃に設定して地中加温を施したところ, 夏季から秋季にかけて栄養シュートの発生が促され, 初秋の収量が増加するとともに切り花品質が改善された.
著者
松原 健一/稲本 勝彦/土井 元章/森 源治郎/今西 英雄
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科学術報告 (ISSN:13461575)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.33-40, 2002-03-31
被引用文献数
1

景観形成のための利用を想定して, 秋植え球根37種類, 春植え球根16種類について, ケヤキZelkova serrata Mak.を主体とする落葉樹林下における植栽適性を調査・評価した。夏季の樹林下区の樹冠開空率は15%程度, 冬季は80%程度となった。夏季の樹林下での光合成有効光量子束は無遮蔽区の5%程度となり, 日平均地温は無遮蔽区と比較して3〜5℃低かった。1年間の据置栽培後, 供試した1/4近くの種類の植物が無遮蔽区, 樹林下区の両条件下で生存していなかった。生存していた種類の多くで, 2年目の出芽率は, 秋植え, 春植え球根とも無遮蔽区と樹林下区でほぼ同様に高かったが, アリウム, クロッカス, フリージアなどいくつかの種類では無遮蔽区で低く樹林下区で高くなった。秋植え球根類の開花率は無遮蔽区で高く樹林下区で低くなったものが多く, 両区とも同様に高かったものも相当数認められた。また, 一部の種類では樹林下区における開花が無遮蔽区と比べて遅れた。春植え球根類の多くは樹林下区の据置き栽培で生存はしていたものの, 旺盛な生育はみられず, 開花率が低かった。これらの結果より, 秋植え球根のうち, ロドフィアラ, リコリス, ニホンスイセンなど, 出葉時期が樹冠に葉がない時期と重なる冬季出葉型の10種類の球根植物が落葉樹林下への植栽に適するものと考えられた。
著者
市川 貴美代 稲本 勝彦 土井 元章 今西 英雄
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.141-146, 2003 (Released:2005-09-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1 1

温度と期間を変えてクロッカス(Crocus medius Balb.),スイセン(Narcissus cyclamineus DC),ムスカリ(Muscari armeniacum Leithl. ex. Bak)の球根を乾燥で貯蔵し,秋に露地に植付けた。クロッカスにおいては,20°Cでの貯蔵が花芽分化と開花を早めることに,30°Cでの貯蔵がこれらを遅らせることに有効であった。また,スイセンとムスカリでは花茎伸長のための低温要求を9°Cでの貯蔵により満たすことで開花を早めることができた。複数の貯蔵方法を組合わせることにより,クロッカスでは11月から2月まで,スイセンとムスカリでは1月から4月まで,それぞれ連続して花を観賞することができた。冬季に開花した花は,季咲きに比べて観賞価値が長く保たれた。
著者
ニミケットカイ ハタイティップ 上田 悦範 稲本 勝彦 土井 元章
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.148-153, 2006-03-15
被引用文献数
1

シュッコンカスミソウ(Gypsophila paniculata L.)'ブリストル・フェアリー'切り花に数種のアルコールを生け水に添加して与え,エステル化酵素(アルコールアセチルトランスフェラーゼ:AAT)の基質特異性について検討した.エタノール以外のアルコール処理により,それぞれ対応する酢酸エステルが生成されたことから,これらの外生的に与えたアルコールがAATの触媒作用により内生アセチルCoAと反応しうることが示された.イソアミルアルコールの処理によりイソ吉草酸イソアミルの生成が促進され,結果としてシュッコンカスミソウ花序の悪臭原因物質であるメチル酪酸の発散量が低下した.芳香族アルコールであるベンジルアルコールや2-フェニルエチルアルコールにも同様の効果があった.細胞抽出液中のAAT活性は,シス-3-ヘキセン-1-オールおよび1-ヘキサノールに対して最も反応性が高く,一方エタノールに対する反応性が最も低く,invitroにおけるAATの基質特異性がin vivoの基質特異性と同一の傾向にあった.また,細胞抽出液におけるAATの活性は小花がつぼみの段階ですでに高く,開花段階で低くなった.以上の結果から,シュッコンカスミソウ花序において揮発性のエステル発散量を限定している要因は,基質となるアルコールの欠乏であることが示唆された.
著者
今西 英雄 稲本 勝彦 三島 睦夫 小池 安比古 土井 元章
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

系統の異なるユリりん茎を用い、-1.5〜-2.0℃の氷温下で長期貯蔵した場合の貯蔵可能期間を調べるとともに、温度降下処理を行い処理後のりん茎の生存率を調べてりん茎の50%生存可能な品温(LT50値)を求め、系統間の長期氷温貯蔵に対する耐性を評価した。その結果、氷温貯蔵期間が長くなるにつれて、テッポウユリ、オリエンタル系、アジアティック系の品種ではLT50値が高くなり氷温に対する耐性が次第に低くなること、LA系の品種ではほぼ一定で耐性が変わらないことを明らかにし、系統間の氷温貯蔵耐性の差異を確かめた。オリエンタル系とLA系のりん茎を-1.5℃と-2.0℃の異なる温度で異なる期間貯蔵後に栽培したところ、氷温財蔵耐性の低いオリエンタル系の品種では両温度ともに、4か月の貯蔵では正常に生育するが、7か月以上貯蔵すると採花時の花や葉に障害が発生し切花品質が低下するため、生存はしているものの使用できなくなるが、耐性の高いLA系では11か月貯蔵しても正常に生育することを確認した。低温による氷温下での貯蔵耐性の付与については、1℃4〜8週間の予冷により、りん片および茎の糖濃度が直まり、氷温で長期貯蔵後の栽培においても切花品質が高いこと、12℃8週間に続いて1℃8週間の予冷を組み合わせると、さらに切花品質が高まること、一方1℃の予冷期間が12週以上と長くなると茎が伸長を始め糖度が低下し、貯蔵中に死に至るりん茎が増加することを明らかにした。CA貯蔵の効果については、-1.5℃の氷温帯で、酸素濃度を2〜3%に維持したCA環境で貯蔵してきた場合、アジアティック系でのみ、開花率が高くなり、切花品質が向上するという結果を得たが、オリエンタル系ではかえって開花率、切花品質の低下がみられ、所期の効果を得ることができなかった。